たっぷりとした花弁の気品ある姿とダマスクの芳醇な香り
シャルトルーズ・ドゥ・パルム(10月30日/中之島バラ園)
この秋は、たくさんの素晴らしい薔薇と出会えました。
薔薇の季節が終わると、ちょっと切ない気分です。
さて、今週末と来週末より大阪市内で上映される映画の中から、気になる作品をピックアップします。
たっぷりとした花弁の気品ある姿とダマスクの芳醇な香り
シャルトルーズ・ドゥ・パルム(10月30日/中之島バラ園)
この秋は、たくさんの素晴らしい薔薇と出会えました。
薔薇の季節が終わると、ちょっと切ない気分です。
さて、今週末と来週末より大阪市内で上映される映画の中から、気になる作品をピックアップします。
公式サイト:http://moviola.jp/talentime/
監督・脚本:ヤスミン・アフマド
撮影:キョン・ロウ
音楽:ピート・テオ
115分/2009年/マレーシア
原題:Talentime
※ネタバレを含みます
【イントロダクション】
2009年7月25日、51歳の若さで亡くなったマレーシアの女性監督ヤスミン・アフマド。
そんなヤスミンの最高傑作で、長編映画としての遺作になったのが今作です。
忘れがたい映画に出会った。
厳しい現実を捉えながらも、ユーモアと優しさに溢れている。
大きく包みこむような監督の眼差しが温かで心地よい。
「偏見だらけの世界は 僕の永遠の敵」
宗教や民族の違いを超え、たとえ理解できなくても理解したいと思い合える気持は、今の社会に一番必要なモノかもしれない。
ピート・テオの楽曲も、この映画の大きな魅力の一つ。
映画のラスト近く、一番気持ちが盛り上がった時にかかった曲、“I go”
少年達の抱擁に心震え、涙が溢れた。
青春群像劇とも言えるけど、キラキラした初恋より、ハフィズと周りの友人や母のエピソードにグッときた。
時々はさまれる映像(赤ちゃん!)や、音楽の使い方など独自の作家性を感じさせる。
先日「細い目」で初めてアフマド作品を体験し「あっ、この監督好きだ」と思った気持ちが、より大きなものとなった。
この映画(監督)に関しては、すごく大切に思っているファンがきっとたくさんいるんだろうなーと感じる。
映画鑑賞後、山本博之さん(京都大学 東南アジア地域研究研究所 准教授)による特別講義「ヤスミン・アフマドとマレーシア映画の世界」、素晴らしい時間を過ごすことができた。
講義で見せていただいた、ヤスミンが撮った映像「恋するタン・ホンミン」と「葬儀(愛おしい欠点)」、これがまたどちらも素敵で胸が熱くなる。
山本博之さんの著書
マレーシア映画の母 ヤスミン・アフマドの世界――人とその作品、継承者たち (シリーズ 混成アジア映画の海 1)
売上はヤスミン・アフマド基金的なもの(正確な名称は失念しました)に寄付されるようです。
というわけで、昨日・今日ファンになった私のような者がこの映画を語るのはなんかおこがましい気がしないでもないのです。
が、無条件(エンターテイメント的ド派手な映画が好きな人は除きますが)でおすすめできる映画に久しぶりに出会ったので、ご紹介しなければ!という気持ちが勝りました。
あー、また観に行きたいなっ
シアター・セブン にて鑑賞
中之島バラ園
万博記念公園と同様、こちらもウェーヴした花びらやまん丸な形など、最近人気の進化した薔薇も多くなってきた気がします。
今回一番強く香りを感じたのは、日本の薔薇「みさき」
シャロー&カップ咲きで、花弁がタップリでクラシックな雰囲気、魅惑的な甘い香りにうっとり
さて、今週末と来週末より大阪市内で上映される映画の中から、気になる作品をピックアップします。
続きを読む「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」
主人公がチャーミング、彼女の冒険を応援する気持ちで見てた
シンプルな絵だけどセンスが良くてずっと見てられる感じ
がちゃがちゃしてないのがいいナ
日本のアニメみたいに細かい所まで描き込んでるのも時にはいいけど、
今作はスッキリとした画面から伝わる迫力に潔い美しさを感じた
ロシアが舞台なのにフランス語なのは、残念だけど仕方ないかな。
今週末と来週末より大阪市内で上映される映画の中から、気になる作品をピックアップします。
続きを読む戦場記者メリー・コルビンの半生をロザムンド・パイク主演で。
「ホテル・ムンバイ」の後にコレは連続できつかった。
現実は映画以上にどこまでも厳しい、その事ばかり考えてしまう。
「おやすみなさいを言いたくて」(2013年)のように、家族(子供)からの視点が少なく、淡々とした乾いたタッチで描かれているのは好き。
考えさせられるが、映画としては入り込めなかった
今週末と来週末より大阪市内で上映される映画の中から、気になる作品をピックアップします。
公式サイト:https://longride.jp/drruth/
監督・製作ライアン・ホワイト
100分/2019年/アメリカ
原題:ASK DR. RUTH
※ネタバレを含みます
【イントロダクション】
1981年ニューヨーク。日曜深夜、ラジオから流れるトーク番組「セクシャリー・スピーキング」に人々は夢中になった。
誰も教えてくれない性のお悩みをズバリと解決するドクター・ルース。
身長140センチ、強いドイツ訛りの彼女は、そのチャーミングなキャラクターで、たちまちお茶の間の人気者になった。
(公式サイトより転記させていただきました)
これぞ、生きるお手本!
ドキュメンタリーなんだけど、堅苦しさは皆無
ドクター・ルースの人生が、時にアニメーションも用いながらドラマチック(実際ドラマチックだし)に描かれている
セラピストとしての彼女は率直に、そしてセクシャリティに関することだけに、その人自身の内面に寄り添いつつ誠実に答えている
お悩み相談の入り口は性であっても、結果的に生きやすくなる方向性のヒントを与えてくれてる感じ
にも関わらず、アメリカでも日本以上に保守的な人々(例えば福音派とか)はたくさんいるわけで
そういう人たちはこの放送を猥褻と捉える
それって逆に性を意識しすぎじゃね?! と思ってしまいますが
10歳にしてナチスから逃れる為スイスに渡り、両親をホロコーストで亡くして孤児になり、その後の人生も波乱万丈
そんな彼女がいかにして、現在のドクター・ルースになったのか
その姿から学ぶところは多すぎるくらいで、なかなか消化できない
それでも「教育が何よりも大切」という言葉には、深く頷いた
笑顔とユーモアを忘れない明るさ、とにかくチャーミング!
周りの人に「ちゃんと食べてる?」と声をかける様子も印象的
不幸を引きずるのではなく、笑って楽しく生きていくその姿勢が大事なんですねぇ
「ノーマル」という言葉が嫌い、政治の話はしないが中絶は肯定する、男女は平等だがフェミニストではない, etc. ,
全ての人に敬意を払う、そんなルースの姿勢は自らの辛い経験から培われたものかもしれない
常にフェアな人だなと感じた
こんなパワフルなルースが二人(もう一人はRBGことルース・ベイダー・ギンズバーグ)も存在する、アメリカの底力みたいなモノを少し感じた
だけど二人ともかなりの高齢、私たちがその精神を引き継いでいく責任があるんだなぁ
RBGの伴侶マーティンも素晴らしかったし、ルースの三度目の伴侶フレッドも映像を通して人柄の素晴らしさが伝わってくる
聡明な女性は男性を選ぶ目も確かという事なのか?と一瞬思ったけど
ルースは二度の経験から学んでの三度目の大成功だったね
フレッドをゲットしたいきさつからも、前向きでポジディヴな彼女らしさを感じて面白い
とにかく映画を見て、ルースの言葉に触れてほしい。
シネ・リーブル梅田 にて鑑賞
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/satantango/
監督・脚本:タル・ベーラ
原作・脚本:クラスナホルカイ・ラースロー
撮影監督:メドヴィジ・ガーボル
音楽:ヴィーグ・ミハーイ
編集・共同監督:フラニツキー・アーグネシュ
438分/1994年/ハンガリー・ドイツ・スイス
原題:Sátántangó
※ネタバレを含みます
【イントロダクション】
経済的に行き詰まり、終末的な様相を纏っている、ハンガリーのある村。
降り続く雨と泥に覆われ、村人同士が疑心暗鬼になり、活気のないこの村に死んだはずの男イリミアーシュが帰ってくる。
彼の帰還に惑わされる村人たち。
イリミアーシュは果たして救世主なのか?それとも?
(公式サイトより転記させていただきました)
「ニーチェの馬」(2011年)の原点を見た気がした。
すごいエネルギー、執念を感じる。よくこんなモノが撮れたなぁと。
この長さに必然性を感じるか、もっとギュッと凝縮したモノが好きか、好みが分かれるところだと思う。
思い返してみると、昔劇場で見たベルトルッチの「1900年」(1976年)は、長かったとはいえ316分だった。
しかも、歴史絵巻物的というかストーリーに起伏があった。
今回は438分という時間に加え、長回しのタルベーラ作品。
という事で、二度ほど意識が飛びました。
全12章で構成されていて、意外にもメリハリがあり
中盤以降は、全く眠気を感じずに没入できたけど。
オープニング
ぬかるんだ土、吹きすさぶ風、不毛さを感じさせる風景の描写が延々と続く。
どこか現実味に欠けるようなタル・ベーラの世界に、いつの間にか入り込んでいる不思議な感覚。
タル・ベーラいわく「俳優が逃げることができずに状況の囚人となる」な長回しは、観客に緊張感を与えるという効果も狙っているよう。
その緊張感にプラスされるのがモヤモヤとした不安感
ここでは、イリミアーシュがいつ現れるのかという不安と、その時が先延ばしにされているかのような構成から不吉さも感じる。
そんな重苦しい空気の中、踊り狂う村人達!
このシーンはユーモラス(実際に俳優たちは酔っ払っていたらしい)
酒場に登場する革ジャンヒゲおやじが、絵に描いたような困ったちゃんで笑ってしまった。
悪い意味でも印象に残ったのは、少女と猫のエピソード
自分より弱い存在に対し暴力的になる少女、そのシーンには目を背けたくなる。
しかし、彼女がたどり着く古い教会、その絵からは詩的な美しさが漂い、
これは夢なのか?と思わせるような、幻想的な雰囲気。
この少女が成長し、やがて「ニーチェの馬」の娘役を演じていたらしい。
映像以上に気になったのは、様々な音
風の音、雨の音はもちろん、泣き叫ぶような牛の声、部屋の中を飛ぶ虫の羽音、頭の中で鳴り響く鐘の音など、これによって悪夢感がますます高まっていく。
そうそう、人間の張り上げた声って何より耳障りなんだなと思った。
酔っ払いが繰り返す言葉や、狂人の「トルコ人がやってくるぞ!」の叫び声など、なかなか執拗で不快だった(笑)
少し違和感があったのは、映像から感じ取れるモノは古びていてリアリティがないのに、ラストで明らかになる設定が社会主義国だった当時のハンガリーを反映してるようだったこと。
それと、荘園の廃墟での顔のアップ、この長回しはもうかんべんしてくれ、と思った。
なんだろう、急にここで気持ちが冷めてしまったというか。
他力本願な村人の顔は堕落した者のソレでだったから、目を背けたくなるのかもしれない。
あともう一つ
ナレーションで長々と経緯を説明するの、個人的にあんまり好きじゃない。
映画はやっぱり絵で語ってほしい。
体験としては非常に面白かったけど、度々見たいかと問われるとそうとは言えない。
何年か後に、また劇場で見るのも良いかなと思う。
英文学賞ブッカー国際賞を受賞したクラスナホルカイ・ラースローの同名小説が原作
テアトル梅田 にて鑑賞
トールキン好きとしては興味津々、英国男子の青春モノが好きな人にもオススメ。
第一次世界大戦の悲惨さを、避けては語れない時代。
ディテールはフィクションであっても、友人達とのワクワクした時間や、悲惨なソンムの戦いも、トールキンの発想の源になっていると感じた。
今日を含めた今週末と、来週末から大阪市内で上映される映画から
気になるモノをピックアップします。
公式サイト:http://dokushokai-movie.com/
監督:マイク・ニューウェル
脚本:ドン・ルース、ケヴィン・フッド、トーマス・ベズーチャ
原作:メアリー・アン・シェイファー、アニー・バロウズ
衣装デザイン:シャーロット・ウォルター
124分/2018年/フランス、イギリス
原題:THE GUERNSEY LITERARY AND POTATO PEEL PIE SOCIETY
※ネタバレを含みます
【イントロダクション】
1946年、ロンドンで暮らす作家のジュリエット(リリー・ジェームズ)は一冊の本をきっかけに、ガーンジー島の読書会のメンバーと手紙を交わすようになる。島がナチスの占領下にあった大戦中、読書会や本が人と人の心をつないだことに感銘を受けたジュリエットは、取材のため島を訪れる。
ミステリーの要素は少なめ、コメディで、戦争を省みる映画でもあり、やっぱりラブストーリー
1940年代のイギリス、本が題材の映画という点で「マイ・ブックショップ」と共通ですが、今作はもっと鑑賞後の幸福感があります。
自分自身に目覚めた女性が、選ばれた相手ではなく、自分が愛する相手を選ぶというフェミニズム的展開も◎
とはいえもどかしいほど、あからさまな愛情表現はしない。
あくまでも奥ゆかしく、欲望ダダ漏れじゃない古風な感じがいいのです。
アメリカ人との対比が極端だけど(笑)
本について語り合える、そんな関係性は素敵。
以前の本の持ち主と知り合うという、私には妄想&理想の世界が広がっていく。
ここでは、イエーツ、メアリー・シェリー、ヴァージニア・ウルフなどの名前が挙げられてました。
読書の楽しみ、またそれについて語り合う時間は宝物なのです。
ガーンジー島の景観が素晴らしく、私のように初めてこの島に注目する人も多いかもしれません。
ナチスから解放されるまで、この島をはじめとしたチャンネル諸島の人々には一方ならぬ苦労があったようですね。
戦争の傷跡に苦しむ人達が懸命に生きる姿は、歴史を繰り返してはいけないという決意を、見るものに思い出させます。
例の軽々しく「戦争」を口にして党を渡り歩いている日本の議員、腹立たしいわ…
話が脱線してしまいました。
読書会のメンバーも味ある人ばかりで、作品が楽しく心温まるものになっています。
特に、キャサリン・パーキンソン演じるアイソラが可愛い。
「ザ・コミットメンツ」(1991)のブロナー・ギャラガーが、いけすかない宿の女将役で、相変わらず鳩が豆鉄砲を食ったような表情(笑)
マシュー・グードも、脇役の時はなんか好感度高くて好きだわ
当時のファッションも、それを着こなすリリー・ジェームズも素敵。
SNSとかじゃなく手紙でのやりとりって、やっぱり格別のドキドキ感がある事を少し思い出しました。
大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞