公式サイト:http://moviola.jp/talentime/
監督・脚本:ヤスミン・アフマド
撮影:キョン・ロウ
音楽:ピート・テオ
115分/2009年/マレーシア
原題:Talentime
※ネタバレを含みます
【イントロダクション】
2009年7月25日、51歳の若さで亡くなったマレーシアの女性監督ヤスミン・アフマド。
そんなヤスミンの最高傑作で、長編映画としての遺作になったのが今作です。
忘れがたい映画に出会った。
厳しい現実を捉えながらも、ユーモアと優しさに溢れている。
大きく包みこむような監督の眼差しが温かで心地よい。
「偏見だらけの世界は 僕の永遠の敵」
宗教や民族の違いを超え、たとえ理解できなくても理解したいと思い合える気持は、今の社会に一番必要なモノかもしれない。
ピート・テオの楽曲も、この映画の大きな魅力の一つ。
映画のラスト近く、一番気持ちが盛り上がった時にかかった曲、“I go”
少年達の抱擁に心震え、涙が溢れた。
青春群像劇とも言えるけど、キラキラした初恋より、ハフィズと周りの友人や母のエピソードにグッときた。
時々はさまれる映像(赤ちゃん!)や、音楽の使い方など独自の作家性を感じさせる。
先日「細い目」で初めてアフマド作品を体験し「あっ、この監督好きだ」と思った気持ちが、より大きなものとなった。
この映画(監督)に関しては、すごく大切に思っているファンがきっとたくさんいるんだろうなーと感じる。
映画鑑賞後、山本博之さん(京都大学 東南アジア地域研究研究所 准教授)による特別講義「ヤスミン・アフマドとマレーシア映画の世界」、素晴らしい時間を過ごすことができた。
講義で見せていただいた、ヤスミンが撮った映像「恋するタン・ホンミン」と「葬儀(愛おしい欠点)」、これがまたどちらも素敵で胸が熱くなる。
山本博之さんの著書
マレーシア映画の母 ヤスミン・アフマドの世界――人とその作品、継承者たち (シリーズ 混成アジア映画の海 1)
- 作者: 山本博之,秋庭孝之,及川茜,金子奈央,篠崎香織,宋鎵琳,西芳実,野澤喜美子,深尾淳一,増田真結子,光成歩
- 出版社/メーカー: 英明企画編集
- 発売日: 2019/07/31
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売上はヤスミン・アフマド基金的なもの(正確な名称は失念しました)に寄付されるようです。
というわけで、昨日・今日ファンになった私のような者がこの映画を語るのはなんかおこがましい気がしないでもないのです。
が、無条件(エンターテイメント的ド派手な映画が好きな人は除きますが)でおすすめできる映画に久しぶりに出会ったので、ご紹介しなければ!という気持ちが勝りました。
あー、また観に行きたいなっ
シアター・セブン にて鑑賞