「はじまりのうた」映画＋音楽の相乗効果

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公式サイト：http:// hajimarinouta.com/

監督：ジョン・カーニー
製作：アンソニー・ブレグマン / トビン・アームブラスト / ジャド・アパトー
撮影監督：ヤーロン・オーバック
プロダクションデザイナー：チャド・キース
編集：アンドリュー・マーカス
衣装デザイナー：アージュン・バーシン
音楽：グレッグ・アレキサンダー
（2013年アメリカ制作 104分）
原題：BEGIN AGAIN

※ネタバレを含みます。結末に触れていますので、ご注意ください

【ストーリー】
NYの小さなライブハウス
友人スティーヴ（ジェームズ・コーデン）から突然ステージに誘われたグレタ（キーラ・ナイトレイ）は、渋々ながらも新曲を演奏する。
ざわつく客席の中で一人その曲に聞き入っていたのは、元敏腕音楽プロデューサーのダン（マーク・ラファロ）だった。

2008年のお正月に感動をくれた「ONCE ダブリンの街角で」の監督作品と聞いて、楽しみにしていました。
「ONCE」の時よりずっと、音楽を取り巻く環境がデジタル化してて時代を感じます。

音楽好きだからこそ作れる映画、音楽へのリスペクトを感じさせる爽やかな映画です。
背景には、商業主義的な音楽業界への批判も若干感じられますが、シリアスではなくて、ちょっと笑っちゃうような楽しさがあります。

恋愛の要素も若干は含んでいるけれど、誰と誰がくっついたとか離れたなんて事は正直どうでもいいよ〜というスタンスが感じれます。
また、何かをやり遂げた！達成感はあっても、華やかな成功なんかとはかけ離れた結末が、逆に見ていて清々しいのです。
登場人物達が音楽によって再スタートするその過程、それがこの映画の全てなんじゃないかな。

過去に音楽プロデューサーとして輝かしい成功をおさめているダンは、自分が設立したレーベルを持つ会社からもクビになり、今まさに人生のどん底。

一方のグレタは、メジャーデビューしたデイヴ（アダム・レヴィーン）と共にNYへ来たものの、デイヴの浮気によってその関係が破局してしまう。

そんな最悪の日に出会った二人が、資金もないままアルバムを作ろうと取り組む姿が前向きだから、見ていて元気をもらえるのです。

特に、傲慢な態度で会社をクビになり父親としてもイケてないダンが、グレタと出会ってがぜんやる気をだしはりきってる様子が微笑ましい、というか頼もしい。
それまではダメダメに見えた彼が、情熱を注ぐモノに出逢った時から変わり始めます。

グレタの曲 “A Step You Can't Take Back” を初めて聴いたダンが、そのアレンジを想像するシーンがすべての始まりです。
彼女が奏でるギターと歌に、ドラム・ピアノ・ベース・バイオリンなどの音が重なり、人々の話し声やグラスが重ねる音などの雑音の中で曲が輝き出すこのシーンは素敵。

キーラの歌声は今回初めて聴いたのですが、グレタのファッションと同様、ナチュラルで素朴な雰囲気があって、個人的には好きだなぁ。
語弊があるかもですが、少しだけ拙い感じが逆に味になってるというか。
彼女がデイヴに（クリスマスプレゼントとして）贈った曲 “Lost Stars” も、グレタが歌ったヴァージョンの方がスーッと心に入ってきた。

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見ていて羨ましかったのは、ダンとグレタが同じ音楽をシェアして楽しそうだったシーン。
これって、出来そうでなかなか出来ないんですよね〜。

今回主役二人以外もそのキャスティングは豪華です。

グレタの良き友スティーヴに「ワンチャンス」（2013）のジェームズ・コーデン（James Corden）
ダンの娘バイオレットに「トゥルー・グリット」(2010）のヘイリー・スタインフェルド（Hailee Steinfeld）
ダンの妻ミリアムは「カポーティ」 (2005）のキャサリン・キーナー（Catherine Keener）
そして、Maroon 5のアダム・レヴィーン（Adam Levine）やシーロー・グリーン（Cee Lo Green）などのミュージシャンも参加してます。

映画だけでも音楽だけでも出せない魅力、映画＋音楽が一緒になることで生まれる魅了ってこれなんだな〜と思います。
素直に楽しい！って思えた映画だから、もう一度見たい気分です。