公式サイト:http://www.truegritmovie.com/intl/jp/(音が出ます!)
監督・脚色・製作:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
原作:チャールズ・ポーティス
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
撮影:ロジャー・ディーキンス
(2010年 アメリカ)
原題:TRUE GRIT
※ネタバレ含みます。
【ストーリー】
父親を殺された14歳の少女マティ(ヘイリー・スタインフェルド)は、
真の勇気を持つといわれる保安官のコグバーン(ジェフ・ブリッジス)に犯人の追跡を依頼。
テキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、
かたきのチェイニー(ジョシュ・ブローリン)を追うこととなる。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)
「悪しき者は追う人もないのに逃げる 箴言28章1節」
1969年のアメリカ映画「勇気ある追跡」(監督はヘンリー・ハサウェイ)のリメイク。
ジョン・ウェイン主演の西部劇といえば、かつてアメリカが求めた父性の象徴のような気がして
あまり食指が動かずオリジナルは未見ですが、今は今作との比較として見たい気がします。
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そのジョン・ウェイン演じた保安官のコグバーン役を、今回はジェフ・ブリッジスが。
「クレイジー・ハート」で演じたカントリー歌手同様、お酒に飲まれてしまうちょっと情けないヤツ。
小汚いオヤジでも、彼が演じるとなんだかカッコよく見えてしまう。
グダグダの状態の時と、やるときはヤル!状態の時の差のつけかたも上手いです。
特筆すべきは、マティ役のヘイリー・スタインフェルドの素晴らしさ。
ミア・ワシコウスカ(アリス・イン・ワンダーランド)のような見た目の美しさや
華やかさは無いものの、その芯の強さ、凛とした様子には強く惹かれます。
かつての父の取引相手である商人ストーンヒルとの、一歩も引かない交渉術や
大の大人を言い負かしてしまう言葉の巧みさ。
こういう切れ者で生意気な少女!いいですねぇ〜。なんだか胸のすく思いがします。
後のチャイニーのセリフでハッキリするんですが、どうやらマティは家業の会計係で、
これまでも父と二人で家族を支えてきた背景があるようです。
で、マティの存在が圧倒的にこの作品を面白くしてる気がしました。
ラビーフと初めて対峙した時の「その逆立ってる毛をどうにかしたら?」というセリフや
「綴り(スペル)が間違ってる」とコグバーンに指摘したり、相部屋の老女のイビキに悩まされたり。
ラビーフにお仕置きされるシーンはちょっとやりすぎかな。可笑しかったけど。
そして、マット・デイモン演じるラビーフの登場シーン。
ポーチで椅子に腰かけパイプに火をつける彼は、意外(?)にもカッコよかった。
が、見た目どおりこのテキサスレンジャー野郎は、堅物の田舎者で
マティの事も“女子供”というひとくくりで判断します。
こういうマッチョな単細胞役は、マット・デイモンのビジュアルからいってハマる気がします。
役によっていろんな味わいが出せるというのも彼の魅力かも。
短い旅の中でさえ、季節の移ろいを感じさせるような自然描写が美しい。
ラスト近く、コグバーンがマティを抱きかかえ疾走するシーンも非現実的に綺麗でした。
ロードムービーであり、少女と男達の友情物語でもあります。
「ノーカントリー」の保安官(トミー・リー・ジョーンズ)は
事件を追いながらも自分の無力感に打ちのめされてましたが、
そういう空しさとは異なり、それなりにカタルシスを感じられる作品です。
残酷なシーンは少々ありますが、こういったコーエン作品の中では少なめな方かも。
TOHOシネマズ梅田にて鑑賞。