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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ワン チャンス」 〜こころ震える歌声〜

映画 わ行

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公式サイト:http://onechance.gaga.ne.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督:デヴィッド・フランケル
脚本:ジャスティン・ザッカム
楽曲吹き替え:ポール・ポッツ
(2013年 アメリカ/イギリス製作 104分)
原題:ONE CHANCE

※ネタバレ含みます 結末に触れていますのでご注意ください

【ストーリー】
イギリスの片田舎に産まれ、子どもの頃から、典型的なイジメられっ子。
大人になっても、冴えないままのケータイ電話販売員。
彼の名はポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)。
シャイで謙虚、自信の欠片も持てずにきた彼の、
誰にも言えない夢は「オペラ歌手」になること。
(公式サイトより転記させていただきました)

良くも悪くも期待どおり。笑いもあって最後には涙する映画。

イギリスのTV番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」で
一躍有名になったポール・ポッツの半生を映画化した作品です。
このオーディション番組に初めて登場したポッツの映像は
当時、動画サイトなどでご覧になった方も多いと思います。

冒頭、教会の聖歌隊で幼い頃から歌っていたポールの
歌っている時の生き生きとした様子と、
苛めっ子達から必死に逃げる様子の対比から
彼の幼少期から成長するまでをユーモラスに描いています。

大人になったポールは、すでに携帯販売店で働いている設定で
登場します。どうやら彼の人生の細かい部分は割愛されているよう。
マッケンジー・クルック(“The Office”のギャレス!)が
この職場でのボス役で、すごいテキトーなのに出世するという
社会の不条理の象徴のような?キャラクターが、面白い。
相変わらず、目の下のクマが不健康な感じだわーっ(笑)

ポッツ自身は大学で音楽を専攻せず、アマチュアのオペラ劇団で
オペラを学び、ボイストレーニングを受けたりしていたようです。
TV番組で獲得した賞金でイタリアに私費留学したという経緯は
映画でも描かれていますが、パヴァロッティの前で失態を演じた
というのは、フィクションだと思われます。ですよね?!

映画の中のポッツは、ここぞという大事な場面で失敗をしたり、
間が悪く病気になったりするのですが、本当のポッツさんも
「自転車で事故を起こしたのは2〜3度ではすまない」と
どこかで語っていたので、かなりどんくさい(笑)人かもしれません。
そこらへんを笑い飛ばすような視点で描いていたのが、
この映画の明るさの要因になっています。

彼のパートナーとなるのが、ネットのチャットで知り合ったジュルズで、
彼女と出会った事がポッツの人生で最大の転機となったんじゃないかと
映画を見る限りは思います。こういう包容力のある女性の後押しが
あってこそ、ポッツは夢を諦めずにすんだのですから。
私にとっては、主人公よりもさらにそのパートナーの方が
見ていて応援したくなる人物像でした。素敵な女性です。
ただリアルな彼女は写真でお見かけする限り、もうちょと痩せた方が
体に良いんじゃないかなぁと思ってしまいますが(笑)

ジュルズ役はアレクサンドラ・ローチ。“ The Iron Lady”で
若い頃のマーガレット・サッチャー役だった人で、
最近では“ウィッチャーの事件簿”でも、お見かけしました。
セクシーさは無いけど、とてもキュートな女優さんです。

ポール役のジェームズ・コーデンは、マイク・リー監督の
「人生は、時々晴れ」(02)で引きこもりの息子を演じていた人。
先月映画館で見た「ナショナル・シアター・ライヴ」のCMで
彼の舞台「One Man, Two Guvnors」がチラッと映っていたと思います。
ブロードウェイでも上演され、トニー賞を受賞したようですが
このコメディも、いつか日本の映画館で観られると良いなぁ。

映画は終盤、あの「ブリテンズ・ゴット・タレント」の場面で
最高の盛り上がりを見せる訳ですが、やはりこのシーンの
ポッツの歌には、いつ聴いても心を鷲掴みにされます。
“全く自信のない様子の人が歌う事によって突然、最高に輝きだす!”
そんな劇的な瞬間を目の当たりにしているという、観る側の気持ちの
高ぶりも、大きく影響しているのかもしれませんね。

映画的にメリハリをつけようとする脚色が若干目についたものの、
フィクションならではの脇役の設定が、良かったです。

ポッツの父親役には、いかにも頑固そうなコルム・ミーニイ、
ジュリー・ウォルターズはとてもチャーミングな母親役を、
ラドンの恋人ハイドレインジャ役のジェミマ・ルーパーも
男前で気持ちよかったし、この人達を登場させる事によって
話にふくらみが出て、ぐっと面白さが増していたと思います。
父親との確執のエピソードは、ちょっとありきたりとも言えるけど
見た人の多くが元気になれる、そんな映画だと思います。

大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞