2007〜2009年にBBCで放送されたドラマ「クランフォード」
日本でも以前LaLaTVで放送されたようですが、今回イマジカBSが放送してくれたおかげで、とても素敵なこのドラマの出逢えて嬉しい気持です。
9月(2015年)前半にも再放送されますので、これからご覧になる方は下記のサイトで放送スケジュールをご確認ください。
イマジカ番組ラインナップ(ドラマ):http://www.imagica-bs.com/genre/detail.php?genre_id=2
19世紀、イギリスの田舎町「クランフォード」に住む善良な婦人達の物語なのですが、どこか記憶と重なるなぁと思っていたら。。。
ギャスケルのこの本 ↓ がベースになってるからでした。なるほど。
しかしドラマには、本には出て来ないエピソードや人物が登場します。
どうやら、ドラマは「Cranford」の他に「My Lady Ludlow」「Mr. Harrison's Confessions」という短編も合わせて構成されているようです。
そのおかげか本よりもドラマの方が話に広がりがあり、グンと面白くなっています。
「女だけの町」の登場人物はオールドミスの姉妹をはじめ、年配の女性だらけ。
ブラウン大尉やミスターホルブルックは登場しますが、いずれにせよお年寄りだらけで、お世辞にも華やかとは言えません(笑)
一方、ドラマでは若いハリソン医師(サイモン・ウッズー最近あまり見かけないなぁ)の恋や、土地管理人エドマンド・カーター(フィリップ・グレニスター)と少年の触れ合いなども描かれています。
たいした事も起きない平和で保守的な田舎町、そこで起きるささやかなエピソードも面白いのですが、やっぱり若い男女の恋や、貧乏だけど向上心のある少年の話などが織り込まれている方がドラマ映えしますよね。
さらに、実力派俳優達の魅力ある演技によって引き込まれるのは、本にはない映像の素晴らしさ。
ジュディ・デンチやイメルダ・スタウントンの演じる老嬢が、すこぶる可愛い!
書き手(語り手)のメアリー・スミスは、ベネディクト版「ホーキング」(2004年)でジェーン役だったリサ・ディロンです。
今作では控えめだけど芯が強く、広い視野を持った女性の役がピッタリでした。
ラドロー卿夫人役のフランチェスカ・アニスは、クリスティの「おしどり探偵」シリーズのドラマ(1980年代)でタペンス役だった方。
このドラマシリーズ、かなりユルかったけど(笑)華麗なドレスを着こなす彼女が優雅でとても美しかった。
少年ハリー役は、ダニー・ボイル監督「ミリオンズ(Millions)」 (2004年)のアレックス・エテル
デボラ・ジェンキンズ役のアイリーン・アトキンスは、映画「ゴスフォードパーク」(2001年)やクリスティのドラマなどで御馴染みの人
彼女のデボラは存在感あったなー。
トム・ヒドルストンの従兄弟役で出てたミシェル・ドッカリー(Michelle Dockery)は勝ち気なご令嬢という役柄が「ダウントンアビー」とカブってて、ちょっと笑えます。
他にも、メイド・マーサに、クラウディー・ブレイクリー
ブラウン大尉に、ジム・カーター
フォレスター夫人に、ジュリア・マッケンジー
ホルブルック氏に、マイケル・ガンボン等々
長くなるのでこれくらいにしておきますが、とにかく隅々まで豪華なキャスティングで、見応えタップリです。
原作「女だけの町」に登場する人達は昔堅気な生活様式を頑に守っていて、自分がその社会にいると想像すると、とても耐えられそうにありません(笑)
それでも、この人達の根底にある善良さや道徳観から一種牧歌的な懐かしさが感じられ、心穏やかになるのです。
不便さをあえてやせ我慢しているような、そんなイギリス人気質みたいなものまで愛おしく思えてくるのが不思議です。
作者ギャスケルは、同時代のディケンズやブロンテと比べるとそれほど有名な作家ではないでしょうし、私もこの本以外に彼女の作品を読んだことがありません。
ブロンテが亡くなった後、彼女と個人的にも交流のあったギャスケルが書いた伝記は、そのうち読みたいと思っている一冊。
19世紀イギリスの風俗・風習がユーモラスに描かれているという点で、こちらも私が好きな本
著者は19世紀前半のアメリカ人作家、ワシントン・アーヴィング
アーヴィングは、こちらの短編集 ↓ の方が有名ですが、私は未読。
この中の「クリスマス・イヴ」の続編的物語が「ブレイスブリッジ邸」らしいので、後々この本も読みたいと、楽しみにしています。
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