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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ジェーン・エア」 〜女性が男性を選ぶというフェミニズム的発想〜

映画 さ行

JANE EYRE

公式サイト:http://janeeyre.gaga.ne.jp/音が出ます!

監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
脚本:モイラ・バフィー
製作:アリソン・オーウェン、ポール・トライビッツ
製作総指揮:クリスティーン・ランガン
撮影:アドリアーノ・ゴールドマン
編集:メラニー・アン・オリヴァー
プロダクション・デザイン:ウィル・ヒューズ=ジョーンズ
メイクアップ&ヘア・デザイン:ダニエル・フィリップス
衣装デザイン:マイケル・オコナー
音楽:ダリオ・マリアネッリ
原作:シャーロット・ブロンテ
(2011年 イギリス/アメリカ 120分)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
ジェーン・エアミア・ワシコウスカ)は、ずっと独りで生きてきた。
幼い頃に両親を亡くし、引き取ってくれた伯父も亡くなり、その妻と息子にひどく苛められた。
寄宿学校では教師たちから不当な扱いを受け、初めてできた友達は病に散った。
それでもジェーンは、痛みや悲しみに屈しなかった‥。
(公式サイトより転記させていただきました)

シャルロット・ゲンズブールウィリアム・ハートが演じた「ジェーン・エア」(1996)は
なんとなく記憶に残っていますが、
その時にも「以前にこの物語は見た事があるなぁ」というぼんやりとした思いが。
それもそのはず、何度も映像化されているのですね。
ちょっとサイコで古典的な雰囲気の映像は、きっと子供の心に強い印象を刻んだのだと思います。

この作品を改めて映画化したのは、「闇の列車、光の旅」を撮った、
日系人監督キャリー(ケイリー)・ジョージ・フクナガさん。
前作からは全く想像のつかない、19世紀英文学の世界を描いてはりますが、
しっとりとした、けれど叙情的になりすぎない優れた作品だと思います。
少なくても、前述の「ジェーン・エア」(1996)で感じたようなメロドラマ的安っぽさはありません。

冒頭、ソーンフィールド屋敷を飛び出したジェーンからのアプローチというのが、なんだか新鮮。
その後、助けられた牧師リバース(「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベル)一家とのエピソードも
初めて見たような気がしましたが、この部分はこれまで省略される事が多かったとの事。

ジェーンは、頭が切れ自尊心が強い子です。
子供を支配したい大人にとっては可愛げのない存在だというのは、なんとなくわかります。
しかも、器量が良くないし。この主人公のキャラクターは、ヴィクトリア朝時代のイギリスでは
斬新だったんでしょうね。こういう性格の人、すごく共感できます。
私自身、小さい頃から理屈言いだったので(オツムは良くありませんでしたが)。

成長したジェーンは、ソーンフィールド屋敷に家庭教師として雇われますが、
そこでも決して屋敷の主ロチェスターに媚びることなく、毅然とした態度で接します。

印象的なのは、「女性だからって、あの地平線が私の限界の世界だとは思いたくない」的な
(記憶があいまい。。。)言葉。ブロンテ姉妹が生きた時代の家父長制に対する批判とも思えます。

彼女の誇り高い性格、感情に溺れず正しい事をしようという気高さのようなものを
ミア・ワシコウスカが自然に表現しています。この映画で、彼女の魅力にはまりました。

ミアとの出会いは「アリス・イン・ワンダーランド」なので、結構最近なんですが
この透明感・清潔感・そして、眉間に刻まれる深い皺さえ好感を持てる今日この頃。
若い頃のグウィネス・パルトローに似てるような気がする瞬間もあるのですが、
グウィネスが持つどこか“鈍感”な雰囲気は感じられませんし。

そして、ロチェスター役がミヒャエル・ファスベンダーっていうのが良かったですね。
「SHAME -シェイム-」では、彼の演技力に圧倒されましたが、
今回は、大人の渋さと品の良い色気を堪能させていただきました。

衣装担当は「ある公爵夫人の生涯」で数々の賞を受賞したマイケル・オコナー。
キーラ・ナイトレイ主演のこの映画、作品は好きじゃなかったけど
衣装は今作品とは対照的に、時代を反映した豪華絢爛なもので見事でした。

今作品では、主人公の性格や身分・時代を表したようなジェーンの地味な衣装と髪型が、
逆にミアの魅力を引き立てていたような気がします。

jane eyre 02

ジェーンという一人の女性も魅力的ですが、それ以上にこの映画が素敵なのは
1830年代のイングランドの世界に入った気にさせてくれる、再現性の高さ。
本物の歴史ある館、ヒースと呼ばれる荒地、暗闇の中で蝋燭の灯火、詩的な表現など、
その全てが人工的な演出ではなく、今目の前で起こっている事のように感じられるような。
映画館で見る楽しみはこういうところにあるのかもしれませんね。

幼少期のジェーンが苛められる場面や、悲恋的な要素ばかりが印象に残っていたせいか、
これまでは好感の持てなかった「ジェーン・エア」という物語。
この映画を通じて、ちゃんと読んでみなければ!という思いが募り
さっそく買って帰りました。↓

ジェイン・エア(上) (光文社古典新訳文庫)ジェイン・エア(上) (光文社古典新訳文庫)
(2006/11/09)
C・ブロンテ

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まだ読み始めたばかりですが、自然描写の豊かさに心惹かれています。

大阪ステーションシティシネマにて鑑賞。