ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「シャーロック」と「シャーロック・ホームズの冒険(特別編) 」

暑い!ですね。今日は映画館へ行く予定を変更して家にこもってました。
私事ですが、ここのところ体も心もちょっと疲れ気味なので、無理はしないでおこうと思います。
あれもこれもと欲張る気持ちは抑えて、おさえて。。。。

先週までテアトル梅田で上映されていた「生きつづけるロマンポルノ」、結局一本も見られずじまい。
昨年、シネ・ヌーヴォで上映された「日活ロマンポルノ名作選」のリベンジと思っていたのですが。
『白い指の戯れ』や『恋人たちは濡れた』など、タイトルだけは知っていても未だ見た事のない
作品には大いに興味をそそられます。

こちらも先週までの「テオ・アンゲロプロス監督特集」(梅田ガーデンシネマの)は、
『霧の中の風景』の一本だけ鑑賞。
アンゲロプロス特集上映は、元町映画館では秋まで行われているようなので
今後チャンスがあるかもしれません。ちょっと遠いけどなぁ。

代償行動というか、同監督の『エレニの旅』『永遠の一日』をDVDで鑑賞。
その情景の美しさ(『エレニの旅』の水没する村はすごいですね)と
エレニ・カラインドルーの音楽の素晴らしさは言うまでもないのですが、
それだけに、やはり大きなスクリーンで見るべき映画ですね。
音楽と映像が溶け合うってこういう事なのか!とこれ以上に思わせてくれる映画監督は
なかなかいないと思います。けど、見ていて辛すぎる。特に『エレニの旅』は。

実は、アンゲロプロスの映画を見るとなぜかメランコリックな状態に
陥ってしまう(私だけなのかな?)ので、精神衛生上あまりよろしくないのです。

で、気分転換に見たのがビリー・ワイルダー監督の『シャーロック・ホームズの冒険』
“THE PRIVATE LIFE OF SHERLOCH HOLMES”(1970)です。

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ロバート・スティーブンス、コリン・ブレイクリー 他

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↑こちらはオリンピック開催他で何かと注目のイギリスにかこつけた(?)
「FOX/MGMのイギリス映画でその世界を堪能しよう! 」という企画の廉価版で、
なんと千円以下で購入できるという素晴らしさ!
オリンピックとか正直全然興味無いんですが、今年イギリスが話題の国で良かった♪

BBC製作のドラマ『SHERLOCK (シャーロック)』の製作者、スティーブン・モファットと
マーク・ゲイティスが好きだと語るこの映画、色んな意味で面白い。

※ネタバレ含みます。

この映画に登場する、ホームズとワトソンがゲイカップル?!というエピソード。
また、ディオゲネス・クラブに兄マイクロフトを訪問したシャーロックが
「この事件から手を引け」と言われ、逆に好奇心をかきたてられ捜査を進めるといった、
兄弟の対立的構図。
さらには、ホームズにとって結果的に忘れ難い存在となる女性が、
全裸で彼の前に登場するシーンなどなど。
モファット&ゲイティスは少なからず、この映画に影響を受けてるんだなと
思わせる部分があって、興味深いんです。

コナン・ドイルの原作にはない、オリジナルストーリーですが、
ビリー・ワイルダーらしく軽いタッチのコメディに仕上がってます。

主役のロバート・スティーブンスは、上品な人ですがあまりシャープな感じはなくて
ちょっとナヨッとした感じのある俳優さん。
彼とマギー・スミスの息子がトビー・スティーブンスなんですね。なるほど〜。
トビーはどちらかというとマギー・スミス似かな。
マイクロフト役は、クリストファー・リーです。

ところで『SHERLOCK (シャーロック)』シリーズ2第1話「ベルグレービアの醜聞」
"A Scandal in Belgravia"を見たとき、何かしっくりとこない感じが強く残りました。

今回、ジェレミー・ブレット版ホームズの「ボヘミアの醜聞」も再見してみましたが、
ここに登場するアイリーン・アドラーは、人間的な包容力と女性としての品格があります。
いや、このエピソード今見ても(綺麗すぎる話かもしれないけど)好きですわぁ。

上記の映画に登場するドイツの女スパイ・イルザ(ジュヌヴィエーヴ・パージュ)と
「ボヘミアの醜聞」の“あのひと”、この二人と、
今回『SHERLOCK』に登場したアイリーン・アドラーとの決定的な違いは、品性かもしれません。

『SHERLOCK』の“あの女”には“誇り”が感じられないというか、
モリアーティに指南してもらってる時点ですごく安っぽい感じがしてしまったんですよね。

私が思うシャーロック・ホームズの魅力は、自然に出てくる品の良さを併せ持った知性みたいなものです。
特に現代版のシャーロックは、ソシオパス(高機能反社会的人間)と自称するほど感じの良くない
キャラクターなだけに、可愛げとか品性は絶対不可欠な要素だと思うんですよね。
だからこそ、育ちの良さを感じさせるベネディクトはぴったりのキャスティングだと思うのですが。

ジェレミー・ブレットも今更ですが、身のこなしや表情から品を感じさせる人でした。
ジェレミーはイートン校、ベネディクト・カンバーバッチはハロウ校出身と、
二人共イギリスの有名なパブリックスクール出身というのも、面白いですね。

そんなシャーロック・ホームズが尊敬する“the woman”は
素敵な存在であって欲しいという気持ちがあっただけに、
手放しで良いドラマやったと言えない気持ちに繋がったのかもしれません。

とか言いつつ、録画したモノを何度も見ているくらい、今はこのドラマにはまっています。
クスッと笑える部分があるのと、脇役も含め俳優陣が皆、魅力的なのが素晴らしいですね。
AXNミステリでは、9月8日(土)14時からシリーズ1の3話が連続放送されるようです。
字幕版なので、ベネディクトの、セリフによる微妙なニュアンスの違いが楽しめます。
英語がわからない私でも、それなりに。
シャーロック・ホームズの魅力新発見!特集:http://mystery.co.jp/program/sherlock/sp/

あ〜、でも多分もうすぐDVD買ってしまうんやろなぁ。ポアロの時みたいに。
シャーロキアンでもないのに長々と書いてしまいましたが、
それだけ『SHERLOCK (シャーロック)』は面白い!ということです、ハイ。

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