先月AXNミステリーで放送されていた
“ロシア版シャーロック・ホームズとワトソン”と
“ベイジル・ラスボーン版 シャーロック・ホームズ”を
やっと見終わりました。両方とも初見です。
で思った事は、「シャーロック・ホームズ」の映像化は、
ジョン・H・ワトスンの描き方が重要なんだな〜という事。
ベイジル・ラスボーン版 シャーロック・ホームズ
原題:Sherlock Holmes
制作:1939年~1942年 / アメリカ
シャーロック・ホームズ:ベイジル・ラスボーン
ジョン・ワトソン:ナイジェル・ブルース
シドニー・パジェットの挿絵でみるホームズにそっくり、
そんなベイジル・ラスボーンが演じるシャーロック・ホームズは、
イメージ的には完璧かもしれませんね。
ただ、ワトソンの人物像が酷すぎると個人的には思うのです。
ワトソンを頭の回らない道化師役のように描いている映像作品は
どれも好きになれないのですよね。
ホームズの遊び心や、ワトソンへのちょっとしたいたずら心
みたいなものが微笑ましいユーモアとして描かれている、
そういう方向でないと原作ともかけ離れてしまうと思います。
この作品は第二次世界大戦中にアメリカで製作されています。
で、3話目の“Sherlock Holmes and the Voice of Terror”は
ナチス・ドイツのスパイ対ホームズの対決という設定が
プロパガンダ色が強い印象で、好きになれませんでした。
ロシア版シャーロック・ホームズとワトソン
原題:Sherlock Holmes and Doctor Watson
制作:1979年~1986年 / 旧ソ連
シャーロック・ホームズ:ワシーリー・リヴァーノフ
ジョン・ワトソン:ヴィターリー・ソローミン
「ロシア版」とありますが、旧ソ連で作られた作品です。
まだ、冷戦時代の終わりの方ですね。
ワシーリー・リヴァーノフの、ちょっとつぶれた様な特徴のある声にさえ
慣れれば(笑)、なかなかユーモラスなホームズで良い感じです。
そして、なんといってもヴィターリー・ソローミン演じる
ワトソンがいい! 善良で少し繊細な感じが可愛らしいのです。
友人に紹介され、ホームズと共に部屋を借りるエピソードから
描かれていて、最初はホームズの事を怪しむワトソンも
原作に忠実です。怪しまれたまま面白がってるホームズもいいし〜。
ストーリーはややベタな感じで進んでいきますが(時代を考慮すると
これ位で普通かもしれません)なかなかしっかりと作られたドラマです。
また、ホームズとワトソン二人の関係性、その描き方が好ましいので
見ていてなかなか楽しいのですよね。
この「シャーロック・ホームズとワトソン」は2月12日から
AXNミステリーで再放送されるので、未見の方はぜひ!
先日、ロンドンのApple Storeで開催されたイベント、
“Sherlock:Meet the Filmmaker”でも話題に出ていたし、
ドラマ“SHERLOCK” の製作陣も最初から口にしていた
“シャーロックとジョンのケミストリー”という言葉。
(ここでは、ベネディクトとマーティンのケミストリーとも言える)
ここが上手くいくかどうかが、見る者に共感を与えるかどうかの
分かれ道なんでしょうね。
“SHERLOCK” (2010年〜)に関しては、特に二人の関係性を
フューチャーしたドラマという意味で、特別ではあると思いますが。
ベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロックはもちろん
素晴らしいのですが、マーディン・フリーマンがジョンでなければ
ここまで夢中になる事はおそらくなかったかもしれません。
やっぱり、マーさんのあっての“SHERLOCK” ですよ、うん。
振り返ってみると、私が好ましいと思うホームズものは、
グラナダ版「シャーロック・ホームズの冒険」が
基本になってるのだなぁと思います。
初めて見たドラマがこのシリーズだからという事もありますが、
シャーロック・ホームズ=ジェレミー・ブレット、という思いは
おそらく今後も変わらない気がします。
そして、ワトソン役のデビッド・バークと
エドワード・ハードウィックも好きにならずにはいられません。
ハツラツとして、真っすぐな人柄が出てるデビッド・バークのワトソン。
思慮深く落ち着きのあるエドワード・ハードウィックのワトソン
どちらも品があって、紳士的で、可愛げがあって素敵です。
デビッド・バークが降板する際にエドワードを推薦したというだけって、
この二人の見た目が似ているところも、違和感があまりなくて良いし。
このシリーズのような、ベッタリしてないけどお互いに思いやるみたいな
ホームズとワトソンの関係性が、よい距離感で好きなのかな〜。
なんにしろ、“友情を見ていたい”というのは、ずっと変わらない
欲求であることは間違いありません。
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