ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

フェアウェル さらば、哀しみのスパイ

FAREWELL

公式サイト音が出ます!

監督・脚本:クリスチャン・カリオン
プロデューサー:クリストフ・ロシニョン、ベルトラン・フェーヴル、フィリップ・ボファール
原案・脚本:セルゲイ・コスティン
音楽:クリント・マンセル
プロダクション・マネージャー:ステファン・リガ
撮影:ウォルター・ヴァン・デン・エンデ
編集:アンドレア・セドラツコヴァ
美術:ジャン=ミシェル・シモネ
サウンド・エンジニア:ピエール・メルテン
音響デザイン:トマ・デジョンケール
録音:フローレン・ラヴァレー
キャスティング:スージー・フィギス、ジジ・アコカ
衣装:コリンヌ・ジョリー
メイクアップ:マビ・アンザローヌ
(2009年 フランス)
原題:FAREWELL

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1980年代初頭、KGBの幹部グリゴリエフ大佐(エミール・クストリッツァ)は、
フランスの国家保安局を通じて接触した家電メーカーの技師ピエール(ギョーム・カネ)に
ある情報を渡す。それは、ソ連が調べ上げたアメリカの軍事機密や西側諸国にいる
ソ連側スパイのリストなどが含まれ、世界の国家勢力を一変させる力を秘めたものだった。
やがて、二人の間には不思議なきずなが芽生えていくが…。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

俳優としてのクストリッツァに痺れた〜

血のような赤で彩られたオープニングクレジット。個人の行動が監視される社会。
最初からなんだかゾッとするんですけど、グリゴリエフとピエールのやりとりが
ちょっとユーモラスで、想像してたほど緊張感を強いられる重い映画ではありませんでした。

冷戦時代、KGBの幹部が極秘情報をフランス側に流していたという
実際の事件を基に描かれた作品。
スパイ映画とはいっても“華麗”なんていう言葉とはかけ離れた
地味でリアルな話なんです。

でも、そこには“信念”や“覚悟”がちゃんと感じられて、元CIA諜報員の本に出てきた
意味があるんやろか?と疑いたくなるようなアホらしい活動なんかとは、全く異なります。

映画そのものよりも、エミール・クストリッツァの存在感! これにつきますね。
監督作品も好きやけど、それ以上に俳優としてのすごみは特筆すべきものがあるなぁと
感じました。それでいて、なんかチャーミング。

対照的にちょっと気弱(というか、これがフツーの市民感覚ですよね)なピエールを
ギョーム・カネが繊細に演じていたのも、好印象です。

また、1980年代初頭の懐かしい音楽の数々には、聞き耳を立ててました。
今考えると、ウォークマンってデカかったんですねぇ。当時は画期的でしたが。
グリゴリエフの息子がフレディ・マーキュリーのマイクパフォーマンスを
気持ち良さそうに真似てたのが楽しくて♪
その息子と父、抱擁のシーンには胸迫るものがありました。

ところで、ジョギングしてたところをつかまったスパイ、ダイアン・クルーガーだと
思うんですが?! あんな役で出てるなんて、贅沢〜。
そういえば、ダイアンはギョームの元妻でしたね。関係ないかもしれませんが。

テアトル梅田にて鑑賞