ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

セラフィーヌの庭

SERAPHINE

公式サイト音が出ます!

監督・脚本:マルタン・プロヴォスト
プロデューサー:ミレーナ・ポワロ、ジル・サクト
脚本:マルク・アブデルヌール
音楽:マイケル・ガラッソ
シナリオ:マルタン・プロヴォスト、マルク・アブデルヌール
撮影:ロラン・ブルネ
録音:フィリップ・ヴァン・デン・ドリューシェ
美術:ティエリー・フランソワ
衣裳:マドリーン・フォンテーヌ
編集:ルド・トロフ
音楽:マイケル・ガラッソ
配役:ブリジット・モワドン
助監督:ラファエル・ピアーニ
記録:クリスティーヌ・カトンネ・ ラファ
音編集:イングリッド・ラレ
調整: エマニュエル・クロセ
製作担当:ナタリー・デュラン
演出:ジュリアン・ブーレー
(2008年 フランス/ベルギー/ドイツ)
原題:SERAPHINE

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1912年、パリ郊外のサンリスで家政婦として働くセラフィーヌ(ヨランド・モロー)は、
自室で黙々と絵を描く日々を送っていた。
そんなある日、彼女の前にドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデ(ウルリッヒ・トゥクール)が現われる。
彼女の絵に衝撃を受けたウーデは、絵を描き続けることを薦めると同時に無償の支援を約束する。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

大きな木に抱かれ風の音に耳を澄ます、今すぐそんな場所へ行きたくなる映画。

ルソーを発見しピカソをいち早く評価したドイツ人の画商ヴィルヘルム・ウーデ。
彼にによって見出されたセラフィーヌ・ルイという、実在した画家のお話。

このセラフィーヌ、もっさりとした動作でいかにも教養のない様子なんですが、
無垢なようで謎めいて、とても興味をそそる女性です。ヨランド・モロー、上手いです。

食べ物よりも絵の材料を買うことに執着するセラフィーヌですが、彼女の作る料理は美味しそう。
シスター達と食べていたフレンチトーストのようなパンは、何だったのか妙に気になります。
また、肉屋から動物の血を持って帰ったり、教会からオイルを拝借したり、植物をすりつぶしたり、
その独特な絵具の製造過程は、見ていて、とても面白い。

川で洗濯をしている彼女が途中で手を休めてするある行動、青い空を見上げながらなんて
気持ちよさそうですね。シュノーケリングの最中、人気の無い場所で同じ事をした時の
気持ちよさを思い出しました。まるいホッペで無邪気に微笑む彼女は可愛い。

とにかくロケーションが素晴らしくて、なんて心やすらぐ場所なんやろぉと感じる場面が
何度も登場します。木立の中、風が吹き抜ける場所にに置かれたベンチや、
木陰を流れていく美しい小川。そして草原の中の大きな一本の木。

セラフィーヌはウーデに「動物や植物と話すと悲しみが消えます」と語りますが、
そういう事をあらためて彼女に教えてもらった気分です。

セラフィーヌの描く絵、その溢れる生命力には圧倒されます。彼女の才能に触れ、
感動するウーデの体験をまさに追体験する感覚でしょうか。

受け身なだけではない作品です。観ているうちに、感覚が研ぎ澄ませされていくような。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞