ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ビッグ・リトル・ファーム」〜再生的農法は地球を救うのか?!〜

f:id:YURURI:20200531015212j:plain

公式サイト:http://synca.jp/biglittle/


製作・監督・脚本・撮影監督:ジョン・チェスター
製作:サンドラ・キーツ
製作総指揮:ローリー・デヴィッド、エリカ・メッサー
脚本:マーク・モンロー
2018年製作/91分/アメリカ
原題:The Biggest Little Farm

※ネタバレを含みます


【物 語】
殺処分寸前で保護した愛犬のトッド。
その鳴き声が原因で大都会ロサンゼルスのアパートを追い出されたジョンとモリー。
料理家の妻は、本当に体にいい食べ物を育てるため、夫婦で郊外へと移り住むことを決心する。
しかし、そこに広がっていたのは200エーカー(東京ドーム約17個分)もの荒れ果てた農地だった―。
(公式サイトより転記させていただきました)


自然と共生する

これって、本当に大変なことだ。
人間は便利さを追求するがゆえに、失ってきたものも多い。
それを取り戻して本来の姿にかえるのって、一筋縄では行かないんだなぁと思う。


伝統的な農業の手法によって、生態系を再現するような
"究極の農場"をつくることを目指す夫婦
その8年間を追ったドキュメンタリーなんだけど、

「5年目までは何もうまくいかなかった」と
監督でもあるジョン・チェスターが言うとおり
最初から映画にする予定ではなかったよう。


だが結果的に、すごく見応えがあって面白いドキュメンタリーに仕上がっている。
(冒頭にあのシーンを持ってくるあたり、ドキドキさせるし)

加えて、動植物の映像が素晴らしい!
ハチドリの羽ばたき、光の中を舞う花粉、生命の瑞々しさや一瞬の煌めきをとらえた絵に魅了されます。


それにしても、理想はあっても農業経験のないこの二人にスポンサーがつくんだから。
アメリカの懐の深さのようなものを感じる。


そして、伝統農法の指導者アラン・ヨークの教えを仰ぐわけですが。
当然ながら結果はすぐには出ない。

干ばつでため池の水が干上がり、果実を鳥に食べられ、大繁殖したカタツムリは樹木を枯らし、コヨーテに家畜を襲われる。
(私なら「もう無理!」と投げだしますね、間違いなく)


けれど、アランの言うとおり5〜7年が過ぎたあたりから土壌を回復させた結果が見え始める。

生物多様性にこだわるアラン(果樹園には何と70数種類の果樹が!)の言葉は哲学的。

自然の複雑さや多様性、その階層システムをよく観察して理解することの大切さが伝わってきます。
全く説教じみてなくて、スーッと入ってくる感じ。


人間にとって害虫であるアブラムシも、カタツムリも、ホリネズミも、そしてコヨーテさえも
完全な生命の循環「サークルオブライフ」の一員なんだ。
元々完璧だった自然の中でこれから先、人間はもっと注意深く生きていかなきゃいけないのかも。

地球の持つ自然の免疫システムを脅さない、そんな農業が将来の地球を救う道なのかな、、、


などと考えるのも良いのですが、とにかく出てくる動物の画像に癒されます。
(都会人には生理的に気持ち悪い映像もありますが)

寝落ちする子ブタ、ムクムクの子犬、森の賢者と言われるフクロウなどを見に
映画館に行くべし!


しかし、山火事は心配だな。。。。


シネ・リーブル梅田 にて鑑賞