ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

春にして君を想う

春にして君を想う [DVD]春にして君を想う [DVD]
(2004/03/05)
ギスリ・ハルドルスン

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監督:フリドリック・トール・フリドリクソン
( 1991年 アイスランド/ドイツ/ノルウェー )

【物語のはじまり】
老齢のソウルゲイル(ギスリ・ハルドルソン)は都会に住む娘を訪ねるが、
一緒には住めないことを知り仕方なく老人ホームに入る。
そこでかつて自分が捨てた故郷の幼なじみステラ(シグリドゥル・ハーガリン)と
再会する。彼女は故郷に帰る為に何度もホームを脱走していた。

私はどこで人生の最後を迎えたいんだろう、そんな事を考えさせられる。

ケイブルホーグ・コレクションの中で唯一、以前鑑賞した事のある作品だと思う。
今回、ついでに同監督作品「コールド・フィーバー」も見る事ができた。

厳しい自然とそこで長く生活してきた老人。
飼い犬との決別のシーンから、この老人の未来に切なく暗いものを予感させる。
アイルランドの曇った暗い空を思わせる様な。

アイルランドは、最近個人的に注目している国。クリーンエネルギー先進国で、
島国で火山が多く捕鯨賛成国でもあるし。親近感を持ちつつ神秘的なイメージ。
神や超自然的なものの存在、またスピリチュアルなスポットが多そうやなという
印象ですが、そういうアニミズム的なものが根付いている反面、先進的な産業も
発達しているという両面をもつ興味深い国です。
また、今回の金融危機で国が破綻しかねない状況とも聞くと人事とは思えません。

その荒涼たる自然には目をみはるものがありますが、そんな冷たく厳しい
美しさとは別に印象的だったのは“あかり”の存在。
同室の老人がなくなった後、真っ白い雪が降り積もる中で教会や建物の灯が美しい。
また、旅の途中で多くの人々が集う場所。そこでの灯にもホッとする。
日常の生活での温もり=あかり、そんなもののありがたさがジワーッとしみる。

ちょっと気になったのは、主人公が島で作業をしている時やけに釘が新しくて
ピカピカやなぁとか、カンナとかの道具は忘れられた島の割に使えるやん、とか
教会もやけに奇麗やなぁとか、そんな事ですかねぇ。

この映画にはキリスト教の存在も欠かせない。
聖歌や聖書の一節がキーポイントにもなっている。
馬やどの様な所で朝をむかえた時に聞こえてきた賛美歌は思わず一緒に口ずさんでいた。
ちなみに外務省情報だと、アイスランドでは80%がプロテスタント
福音ルーテル派だそうです。
サブ・タイトルは「ミッシング・エンジェル」なんですが、
ブルーノ・ガンツが天使(!)役で登場しています。 (=^_^=)

シネ・ヌーヴォにて鑑賞。