ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ハーヴェイ・ミルク

ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]
(2009/06/26)
不明

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制作・監督:ロバート・エプスタイン、リチャード・シュミーセン
( 1984年 アメリカ)

【物語】
ハーヴェイ・ミルクは大学卒業後、様々な仕事を経て
ベトナム反戦運動に関わるようになる。
ニューヨークのゲイバー“ストーンウォール”を警官が襲撃した事件をきっかけに、
ゲイ解放運動に参加。サンフランシスコでカメラ店を開いた彼は、
ゲイとして全米初の市政執行委員に当選し、市長G・マスコーニと共に
マイノリティ差別撤廃に尽力する。

1984年アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞他を受賞したドキュメンタリー。

残酷な結末、それでも心になにか温かいものが残る。

ドキュメンタリーならではの重み。ミルクと実際に接してきた人達の言葉や表情には
なんとも感情をゆさぶられる。そして、その時代の空気感が肌に伝わってくる。
シルヴェスターの「ユー・メイク・ミー・フィール」で、
一気に70年代のディスコ・ミュージック気分が盛り上がったせいもありますが。

ガス・ヴァン・サント監督「ミルク」(2008年度)を観た事によって、
こんな作品に出逢えた事は素晴らしい。ショーン・ペンにも感謝!
こんな風に2作品を続けて見る事ができるなんてしあわせやなぁ。

フィルムの中でミルクは「カムアウト」する事が重要だと、何度も言っている。
そこには、人間としての尊厳を失わない生き方(「自分を否定しない生き方」とも
言えると思うのですが)の重要性を感じさせます。

小さい時から「自分は周りとは違う」と感じる事で、「その原因は自分にあるのかも」
「自分が悪いのかもしれない」等と思い込み、周りの人達や親にまで否定されてきた、
そんな子供達が「堂々と胸をはって生きていける社会」への足がかりを
彼は作ろうとしていたのかなぁと感じました。

この映画には人間の「善」と「悪」が詰まっていますね。
夜のサンフランシスコを埋め尽くすキャンドルの灯には共感を覚え、
ホワイトの裁判判決が出た夜の暴動には悲しくなる。

そして、正直一番気になったのは、ダン・ホワイトという人の心の闇について。
映画「ミルク」の中では、ミルクがホワイトの事を「クローゼット」(カムアウト
することなく自らの殻に閉じこもっている状態)なゲイだとほのめかしている
シーンがあります。真相はわかりませんが、何か鬱積したものを
心にかかえていたのかもしれません。

いずれにしても、ホワイトの立ち居振る舞いからなんとなくアンバランスなものを
感じました。私の思い込みかもしれませんが。。。。

セクシャルマイノリティの問題は、性別・人種等あらゆるマイノリティの問題と
何ら変わりない。私自身も女性で、黄色人種で、生きていれば将来老人になるんやもん。
ミルクの闘いは私の問題でもあるんですよね。

シネ・ヌーヴォにて鑑賞。

MILK(下)-ゲイの「市長」と呼ばれた男、ハーヴェイ・ミルクとその時代 (祥伝社文庫)MILK(下)-ゲイの「市長」と呼ばれた男、ハーヴェイ・ミルクとその時代 (祥伝社文庫)
(2009/04/14)
ランディ シルツ

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