ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

落下の王国

監督:ターセム
(2006年 インド/イギリス/アメリカ)
原題:THE FALL

【ストーリー】
左腕を骨折して入院中の5歳の少女アレクサンドリア(カティンカ・ウンタール)は、
脚を骨折してベッドに横たわる青年ロイ(リー・ペイス)と出会う。
彼は彼女にアレキサンダー大王の物語を聞かせ、翌日も病室に来るようささやく。
再びアレクサンドリアがロイのもとを訪れると、彼は総督と6人の男たちが織り成す
壮大な叙事詩を語り始める。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

ケチャ、ケチャ。
今年観た中では、かなりの印象を残した映画。
映像美な叙事詩(?)よりも、現実の物語が良かった。

プロローグ。ベートーヴェンの交響曲と、モノクロでスローモーション映像に
いやがおうでも気分は盛り上がる。

アレクサンドリア役の女の子は、そう可愛い外見じゃないけど、そのイキイキとした
生命力がロイの投げやりな態度と対照的でとても魅力的。大人とのやりとりもキュート。
氷をなめるシーンも印象的。
リー・ペイスは最初、いかにもアメリカのイモ兄ちゃん風に見えた(ゴメン!)ですが、
最後にはそれさえ気にならなくなって、センシティブなロイには彼がピッタリに思えた位。
でも、ジェームズ・マカヴォイが演じるロイもいいんじゃないかなぁ。
(「ウォンテッド」を観て、ますます彼のファンになりましたよぉ)

ところで、ロイの作り話はつまらないんですが、それと現実とのリンク加減が
絶妙で面白い。あーこの人があの役かぁ、とか気が付くのも楽しいし。

クスッと笑えるシーンもありつつ、後半はアレクサンドリアの無意識の世界
(父親を亡くしたトラウマ)やロイに父親的なモノを求める気持に感情移入してしまい、
最後の20分間は涙が溢れてしまいました。

さらに、ラストでは有名なサイレント映画のスタントシーンが続々と登場するんですが、
それがフィクションな存在であるはずのロイとリンクして、また、涙してしまった。
そんな映像を観てると、サイレントの時代からたくさんの素敵な映画を作ってきた人達に
改めてありがとう!と言いたくなって、あー妙に感動した!

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。