ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「メイジーの瞳」 〜ヒトミは語る〜

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公式サイト:http://maisie.gaga.ne.jp/
※音声が出ますのでご注意ください

監督:スコット・マクギー / デヴィッド・シーゲル
原作:ヘンリー・ジェームズ
脚本:ナンシー・ドイン / キャロル・カートライト
製作:ダニエラ・タップリン・ランドバーグ / リーヴァ・マーカー
撮影監督:ジャイルズ・ナットジェンズ
プロダクションデザイン:ケリー・マクギー
衣裳デザイン:ステイシー・バタット
(2013年 アメリカ 99分)
原題:WHAT MAISIE KNEW

※ネタバレ含みます

【ストーリー】
離婚した両親の家を10日ごとに行き来することになった
NYに住む6歳のメイジー(オナタ・アブリール)。
ベビーシッターだったマーゴ(ジョアンナ・バンダーハム)が、
父(スティーヴ・クーガン)の新居にいることに戸惑うが、
元々仲良しだった彼女にすぐに打ち解ける。
母スザンナ(ジュリアン・ムーア)が再婚した
心優しいリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルド)も、
メイジーの大切な友だちになった。
(公式サイトより転記させていただきました)

 

プロローグからメイジーに夢中になってしまいました。
恥ずかしながら、胸がキュンキュン(死語?)するというか(笑)

メイジー役のオナタの、“瞳”を通して語るような演技が素晴らしい。
彼女が主役である事が、この映画に惹かれる大きな要因となっているのは
間違いないです。

原作は、ヘンリー・ジェイムズ(1843年〜1916年)の
「メイジーの知ったこと」で、原作とは異なる部分はあっても、
メイジーの視点から見た物語という設定は同じようです。

6歳の視点から見た大人は、実に身勝手で、物事を複雑にし、
自分がどうすればいいのかまるで判っていないのです。
シンプルに生きられない大人って、なんだかなぁ〜と考えさせられます。

ミュージシャンのママと、アートディーラーのパパは
顔を合わせれば罵り合うばかり。ついには離婚してしまいます。
この両親はメイジーを抱きしめ「愛してる」とやたら言うのですが、
最終的には彼女よりも自分たちのエゴを優先してしまう人達です。

この二人共に再婚した理由が、再婚相手にメイジーの面倒を
見させる為だと思わせる描き方は、ちょっと極端な感じも受けました。
実際問題、こんな状況がもし表沙汰になったら、両親共に
親権をとりあげられそうな、そんな印象も受けます。
アメリカって、そういうところ確か厳しいはずなのに。

そんな状況の中で、父母の再婚相手がなんとも心安らぐ人達で、
厳しい現実の中、この二人の存在とメイジーの関係が
まるでファンタジーのように感じられます。

特に好きなのは、メイジーがクラスメートの前でリンカーン
新しいパパとして紹介するシーン。ここでのリンカーンの嬉しそうな
表情! 街中でふざけあう二人も微笑ましいですねぇ。
柔らかな光が持つ温かさと優しい色彩があふれる映像が、
リンカーンの人柄と重なるようでもあり、とても素敵なのです。

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彼が最初に学校に迎えにきた時は警戒していたメイジーが、
頼る人が他にいないと気付いた後、手を繋いでという風に
リンカーンに差し出す仕草をみて、あぁ、女の子やねぇと感じました。
“受け入れてくれそうな人には自然に甘えられる”という才能、
メイジーのこの部分がすごくナチュラルに表現されてます。

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パパの再婚相手マーゴとメイジー、この二人のシーンも
やはり光溢れる温かいイメージです。
ラストの、嬉しくて待ちきれず思わずボートに向かって
走り出すメイジーを見て、子供時代の気持ちが甦りました。
周りのモノがキラキラと眩しく映った小さい頃の気持ちです。

メイジーは、身勝手な両親でも決して批判したりせず、
だまって受け入れています。
端から見ると押し付けがましくても、両親が常にしていた
抱きしめて「愛してる」と伝える行為は、彼女の心の内に
刻まこまれていたんでしょうね。

父親役のスティーヴ・クーガン。彼のちょっと気取った話し方が、この役では
やたらイラッとします(笑)コメディだと逆に可笑しさが増して良いのに。
直前にトレーラーが流れた『あなたを抱きしめる日まで』にも
出演してるようで、こちらの映画も面白そう。

ジュリアン・ムーアはエキセントリックなロックスターという
役もなんなくこなしていて、本当に役の幅が広い素敵な53歳ですね。

公式サイトでも見る事ができますが、ステイシー・バタットが手がけた
メイジーの衣装がすごく可愛いのです。これだけでも見る価値あるな〜。

メイジーを見ていると、なぜかエミリー・ブラントを連想しました。
オナタ・アブリールも、彼女みたいな奇麗なお姉さんになるかしらん。

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 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞。