ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ジェリーフィッシュ

監督:エトガー・ケレット
2007年 イスラエル/フランス 

【物語のはじまり】
恋人と別れたバティア(サラ・アドラー)は結婚式場でウエイトレスとして働いている。
職場では上司に注意されるし、大家は家賃の値上げするという割に部屋の雨漏りには
知らん顔だ。ある日彼女が海辺に座っていると、海から浮き輪を身に付けた
小さな女の子が現れる。

詩的な映像。鑑賞後はふわっと暖かい気持になる。

同じくイスラエル/フランス製作の「迷子の警察音楽隊」がとてもよかったのと
チラシのビジュアルだけで楽しみにしてたこの作品、思いのほか上映期間が短かくて
最終日にぎりぎり観られてよかった。(=^_^=)
20時50分からの上映が朝方派の私には少々ハードでしたが、
82分の鑑賞はあっという間でした。

パティアやフィリピンからの出稼ぎ女性ジョイ、また新婚カップル等が登場する群像劇で、
それぞれのエピソードが交錯します。

冒頭から、印象的な映像。海(水)の絵を背景にして今まさに別れようとしている
カップルがいる。バティアが気持をうまく言葉にできない様子が表現されてて、
なんか要領悪そうな主人公やなぁとここだけで判ってしまう。

テルアビブの海岸や町、殺風景なホテルの部屋、その中で独特な色彩が輝いていて、素敵。
ジョイの雇い主でもある女優が、服の衿を片一方だけ外に出していないのがものすごく
気になると同時に、この人物の性格を表現している様な気もして面白い。
前衛的演出の「ハムレット」には思わず笑っちゃいました。
新婚カップルの新婦が書いた詩も印象的で、その後の物語の展開とうまくからんでいた。

色々と印象的なエピソードやシーンはありますが、パティアの過去の姿ともとれる幼女の
存在は映像的にも大きかったなぁ。海から表れる女の子のオレンジ色の髪とソバカスと
まっすぐに瞳に目が釘付けになりましたねぇ。
なんといってもラスト近くの海の中でのシーンは生理的に気持がよくて
何度も観たいシーンです。

梅田シネリーブルにて鑑賞。