ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

イタリア映画祭2012 その2「天空のからだ」

corpo celeste

監督:アリーチェ・ロルヴァケル(Alice Rohrwacher)
(2011年/100分)
原題:Corpo celeste

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
思春期の少女がとまどいや葛藤を抱きつつも自分なりの生き方を見つけていく歩みを、
繊細な演出と瑞々しい映像でたどる女性監督ロルヴァケルのデビュー作。
13歳のマルタとその家族はスイスから10年ぶりに帰国し、
南イタリアレッジョ・カラブリアに再び住み始める。
カトリックの儀式を受けるために、マルタは教会の日曜学校に通うが、
その世界になかなかなじめないでいた。
本作は、昨年のカンヌ国際映画祭監督週間に選ばれたのをはじめ、数多の映画祭で上映されている。
(公式サイトより転記させていただきました)

舞台となるレッジョ・カラブリアはシチリアの北東に位置するようなんですが、
すごく保守的で宗教色の濃い雰囲気。

マルタがカトリック教会での通過儀礼「堅信式」を受けるために通う日曜学校、
教会の宣教助手サンタが声高に教える様子を聞いていると
北朝鮮の洗脳的教育(将軍様はこんなに素晴らしい!などの)を連想してしまいます。

そして、日頃は子供達に命の大切を説いているはずのサンタも、猫の命には全く無頓着な様子。
また、神父は人事異動ばかり気にして宣教には身が入っていない。
家賃徴収のついでに政治活動もしていて、なんだか胡散臭いし。

13才のマルタは、自分自身の体の成長に焦りやとまどいを感じ、
精神面でもまさに揺れてる〜お年頃といったところ。
これまでも教会には通っていたようですが、この土地でのガチガチの共同体といった雰囲気、
そして教会との教えとかけはなれたような大人たちの行動に違和感を感じたのだと思います。
本当に知りたいことは全く教えてもらえないしね。

もはや教義が現実の生活に息づいていない、宗教が形式だけになってしまっている、
そんな様子が描かれていて、こういう土地では物議を醸しそうな映画です。

成長に伴い、大人のずるさみたいなものが見えてくるのが子供時代。
そんな現実と自分の気持ちに、みんなどうやって折り合いをつけてきたんでしょうね。
私は。。。。あーっ忘れてしまいました! 
それでも、マルタの気持ちにちょっとだけ寄り添えたような気がします。

堅信式のドレスに難癖をつけるサンタや、必要以上に妹に辛く当たる姉ローサ、
そしてマルタの焼いたケーキに誰も手をつけなかったり(ちょっとくらい食べるよね普通)、
???なエピソードが多くて、印象がちょっと散らばった部分もありましたが、
良い映画でした。

トカゲの尻尾、そんな奇跡と遭遇したマルタからは子供らしい笑顔を見ることができて
少しだけホッとします。

ABCホールにて鑑賞。