公式サイト:http://www.7dayshavana.com/(音が出ます!)
スクリプト・コーディネーター:レオナルド・パドゥーラ・フエンテス、ルチア・ロペス・コル
制作:ディダー・ドメリ、ガエル・ヌアイユ、アルバロ・ロンゴリア、ファビアン・ピザーニ
撮影:ダニエル・アラーニョ、ディエゴ・デュッセル
編集:トーマス・フェルナンデス、ヴェロニク・ランジュ、アレックス・ロドリゲス、ザック・ストフ
(2012年 フランス/スペイン 129分)
※ネタバレ含みます。
キューバの首都ハバナを舞台に7人の監督が撮った短編作品をまとめた、オムニバス映画。
月曜日“ユマ” 監督:ベニチオ・デル・トロ
アメリカ人のテディ(ジョシュ・ハッチャーソン)はハバナの映画学校を訪れる。
キューバ在住の親戚に案内されハバナの夜を楽しむが‥。
クスッと笑える軽いテイスト。ちょっと楽しい小さな作品。
火曜日“ジャムセッション” 監督:パブロ・トラペロ
ハバナ映画祭に招待されたエミール・クストリッツァ監督(本人)だったが、
バーでしこたま飲んだのか、足元もおぼつかない様子。
雇われ運転手(アレクサンダー・アブレウ)は、何とか彼を無事に届けようとする。
アレクサンダー・アブレウのトランペットに鳥肌!!!!
監督としてもちろん素晴らしいけど、俳優としてのエミール・クストリッツァは
やっぱり魅力的。彼が演じると役に命がこもるという感じでしょうか。
「俺のクソみたいな人生や映画を喜ぶ奴らに会いたくない。二度殺されるようなものだ!」
というセリフは、案外本音かもしれないですね。私自信はこの作品が一番好みです。
水曜日“セシリオの誘惑” 監督:フリオ・メデム
ハバナのクラブで歌うセシリオ(メルヴィス・エステベス)は、
スペインから来たクラブ・オーナー、レオナルド(ダニエル・ブリュール)に
スカウトされる。
ダニエル・ブリュールってたしかドイツ人よね。。。と思ってましたが、
スペイン生まれなのですね。しかし、ここでは彼よりも存在感大だったのは
メルヴィス・エステベスです。魅力的な彼女は土曜日のエピにも登場します。
ちょっとセンチメンタルに演出しすぎな感もありますが(音楽とか)、
エモーショナルな雰囲気に浸るのも悪くないなぁと思います。
木曜日“初心者の日記” 監督:エリア・スレイマン
インタビューの仕事でキューバにやってきたパレスチナ人のES(エリア・スレイマン)は、
タクシーをチャーターしハバナの町を見て回る。
とぼけた雰囲気で最初は楽しかったけど、ちょっと単調なリズムで
正直、若干眠くなりました。
金曜日“儀式” 監督:ギャスパー・ノエ
少女と一緒に裸でベッドに横たわる娘、ヤミルスラディを目撃した両親は、
彼女を呪術師のもとへと連れて行き、清めの儀式を行う。
おどろおどろしい雰囲気の中行われる儀式は、ちょっと怖い。
これは、キューバ人の民間信仰に基づいているのでしょうか?!
自然崇拝&祈祷といった雰囲気がちょっと苦手。
土曜日“甘くて苦い” 監督:フアン・カルロス・タビオ
精神科医のミルタ(ミルタ・イバラ)は、副業でお菓子も作っている。
お菓子の大量注文を受けたある日、娘のセシリアがフラリと帰ってくる。
ここでは、水曜日のセシリアが主人公の娘として再登場。
結局彼女はそういう道を選んだのかぁ〜と続きも見られるし。
急には卵が手に入らないという状況は、この国は社会主義で配給制なんだなと
忘れていた事を思い出させます。それでも医療と教育は無料というのはうらやましい。
7作品の中では一番物語性があり、わかりやすい作品といった印象。
日曜日“泉” 監督:ローラン・カンテ
朝の6時、マレコン通りのアパートの住人達は、マルタに徴収をかけられる。
昨夜、彼女の夢に現れた聖母の言うとおり「部屋に泉を造って聖母を祭り、
今夜パーティを開く」為に集められたのだ。
ここに登場するマルタ(アパートの管理人なのか?!)は、人を顎で使う天才ですね。
相手に有無を言わさないこの感じ、なかなか貫禄があります。
それでも「マルタの為なら」と協力する人が現れるところを見ると、
日頃は、他人のために世話を焼くタイプの人間なんでしょうね、彼女は。
このたくましさは、日本人には欠けているところかも。
それにしても、防水処理を忘れる大工とか、ペンキや資材を横流ししちゃうとか、
全体的に、めちゃくちゃ適当な国民性が表れているような。。。。
水曜日と土曜日のエピソードに若干繋がりがあったものの、
基本的には一つ一つが全くの独立した話になってました。
個人的には、それぞれのエピソードに少しずつでも関連性がある方が、
面白かったんじゃないかなと思います。
前半とラストは結構楽しめましたが、ピンとこないモノもあったし。
作品のトーンが違いすぎるのも、良し悪しやなぁと感じました。
ちょっと長く感じたし、お酒でも飲みながら気楽に観る方がよいかもしれません。
社会主義国の中でも、キューバは比較的好印象を持っている国ですが、
やはり一党独裁体制を敷いている国というのは、どこかで信用できないものがあります。
ラテンのノリのせいか、国民性なのか、そんな影の部分を普段あまり考えたこともありませんが、
プエルトリコへの亡命など、自由が当たり前の国とは違う何かを感じる部分はあります。
シネ・リーブル梅田にて鑑賞。