ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ヤコブへの手紙」 〜信者でなくても、聖書の言葉に頷くときもある〜

POSTIA01

公式サイト:http://www.alcine-terran.com/tegami/音が出ます!

監督・脚本: クラウス・ハロ
脚本・原案:ヤーナ・マッコネン
プロデューサー:ラッセ・サーリネン、リスト・サロマー
撮影:トゥオモ・フトゥリ
編集:サム・ヘイッキラ
美術・セットデザイン:カイサ・マキネン
衣装デザイン:サリ・スオミネン
メイク:ピア・ミッコネン
グラフィックデザイン:ティモ・ヒュッポネン
音編集:ヨーナス・ユララ
音声:キルカ・サイニオ
照明:カッレ・ペンティラ
オンライン編集:ユーソ・セリム
作曲、テーマ曲:ダニ・ストロムベック
台本協力:ジミー・カールソン
(2009年 フィンランド)
英題:POSTIA PAPPI JAAKOBILLE

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
元囚人のレイラ(カーリナ・ハザード)は、ヤコブ牧師(ヘイッキ・ノウシアイネン)の家に住み、
盲目の牧師のもとへ寄せられる手紙を読んであげることに。
人生に嫌気がさしているレイラだったが、次第に牧師に対して心を許すようになっていく。
そして手紙が届かなくなって気落ちした牧師に、レイラはある秘密を打ち明ける。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

「このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。
このうちで最も大いなるものは、愛である」

この、新約聖書の「コリント人への第一の手紙」13章13節は、何か聞き覚えあるなぁと思って。
思い出せないと気持ち悪いので必死に考えて、、、、園子温監督「愛のむきだし」(2009年)でした。
浜辺に止めたバンに監禁されたヨーコが、この箇所が好きだと言っていましたねぇ。
あ〜、Aha体験した!

というわけで、“愛”についての映画でした。

終身刑だったレイラは恩赦により出所するのですが、
静かに静かに進むストーリーの中、彼女の存在が不気味で、
最初はちょっとサスペンスタッチなんです。

けれども、後々考えてみると彼女よりも郵便配達人の方が謎でした。
牧師に届いていた手紙が届かなくなったのは何故か?という疑問が残りましたが、
配達人が深夜に牧師の家に忍び込んだのは、過去の手紙を盗むためやったのかもしれません。
レイラが来るまでは、過去の手紙が牧師の為に再配達されていたのかもしれないなぁと。
その辺は見る側の勝手な想像でいいのかなと思います。

手紙が届かなくなってからの牧師はひどく落ち込み、あるはずのない結婚式に出かけたりします。
(この勘違いも、配達された贋物の手紙のせいかもと想像しますが)
自分の存在意義を見出せなくなった牧師が、自らの死を意識するのは悲しい。

マザーテレサの次の言葉が頭に浮かびます。
「この世の最大の不幸は、貧しさでも病気でもありません。
自分が誰からも必要とされないと感じることです。」
聖書の言葉もたまにはいいけど、やっぱり私にとって身近に感じるのはマザーの言葉かな。

お昼ごはんを食べてすぐ見たせいもあって、中盤ちょっとだけ眠気におそわれましたが、
後半一気に話が展開して目が離せないというか、目からハラハラと涙が。

生きる気力や意味を見出せない女性が、自分を愛し心配している存在に気付くラストは感動的です。

テアトル梅田にて鑑賞。