ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「ヘヴンズ ストーリー」 記憶に残る映像

heven

公式サイト

監督:瀬々敬久
脚本:佐藤有記
音楽:安川午朗
撮影:鍋島淳裕、斉藤幸一、花村也寸志
照明:福田裕佐
美術:野々垣聡、田中浩二、金林剛
録音:黄永昌、高田伸也
整音:鈴木昭彦
編集:今井俊裕
助監督:海野敦、菊地健雄
企画:浅野博貴
製作:小林洋一、吉村和文、岡田博
プロデューサー:朝倉大介、坂口一直
(2010年 日本)

【ストーリー】
8歳の少女サト(本多叶奈)は両親と娘を殺され、祖父(柄本明)に引き取られる。
サトはテレビの画面の中で「法律が許しても、僕がこの手で犯人を殺してやります」と
強く言い放つ人を見た。妻子を殺されたトモキ(長谷川朝晴)だった。
その日から、サトにとってトモキは英雄になった…
(公式サイトより転記させていただきました)

今まで見た中で一番上映時間が長かったのは、たぶんベルトルッチの「1900年」(316分)やと思います。
この時も途中休憩があってその間に持参したバナナを食べたという、どうでもいい記憶はあるんですが、
詳細は結構忘れてますね。なんせ結構昔なんで。それでも、この作品は話のスケールが大きくて、
映画の中に飲み込まれ圧倒されているうちに見終わった気がします。

で、今回の映画は278分。全く眠気も感じず集中して見る事はできました。
結論から言うと、良い映画やなぁと思うんですが、私自身はカットして欲しいと感じるショットが
多々見受けられたので、この長さは必要ないように感じました。

具体的には、登場人物が“泣く”シーンが長すぎる。突然叫びだす、そんなシーンも多かったし。
全体的に、感情表現過多なように感じられました。
いわゆる“ベタ”な感じが苦手なんで、余計にそう感じるのかもしれませんが、
もっと静かに訴えかける、そんな表現方法の方が個人的には染みてきます。
同じ様に感じたのが、エンディング曲の歌詞。コトバが単純すぎてちょっと入ってこなかった。
作詞されたのは監督さんなんですね。なるほど、ストレートな表現が好きな方なのかもしれません。

とにかくロケーションが素晴らしい! 
それ以外にもこの映画には、視覚的に圧倒される面が多かったですね。
カイジマ(村上淳)と波田(佐藤浩市)が雪上で戦いを繰り広げるシーンは特に気に入ってます。
山崎ハコさん演じる恭子とミツオ(忍成修吾)が野外で人形劇を見ているシーンも、
神秘的でエロティック、いつまでも見ていたくなりました。
“ヘヴンズ ストーリー”だからという訳でもないと思いますが、
幻想的で吸い込まれるような映像が、とても印象的な映画です。

恭子がつぶやく言葉「私には忘れて困る記憶なんて無いんです」が哀しかった。
ところで、この映画に登場する女性達。
恭子は良いとしても、タエは面倒くさい女やし(母になった後はなんと!素敵に変身してましたが)
直子みたいな受け身っぽい人は苦手やし、サトとカナに至っては最悪!ですやん。
カナはあんな事して、罪の意識は無いのか! とか言ってる私は、器の小さい人間です。

こうやって映画の細部にばかり目がいって、映画全体を大きく鑑賞する事が
なかなかできないんですよねー。