ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

瞳の奥の秘密

hitomino

公式サイト音が出ます!

監督・共同脚本・編集:ファン・ホセ・カンパネラ
(2009年 スペイン/アルゼンチン)
原題:EL SECRETO DE SUS OJOS

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
刑事裁判所で働いていたベンハミン(リカルド・ダリン)は定年を迎え、
25年前に起きた忘れ難い事件をテーマに小説を書くことにする。
それは1974年、新婚生活を満喫していた女性が自宅で殺害された事件で…。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

ここ10日程、あまりの暑さにひるみ映画を観に行ってませんでした。
特に、梅田ガーデンシネマとシネリーブル梅田の入っている新梅田シティまでは
炎天下をテクテクと歩かないと。。。考えただけで負けてしまった私です。

いつまでもそんな事言ってられないので、今日は覚悟を決めて出かけましたが、
観に行った甲斐がありましたよ〜!
帰り道は酷暑の中、汗をダラダラかきながらも足取りは軽かったです。

ピアノ曲と共に静かな雰囲気で始まった映画。
去り行く男の背中をみつめる女性の瞳がクローズアップされます。
タイトルどおり、瞳の奥をのぞけばその人の本当の姿が見えるという事でしょうか。
登場人物達はそれぞれ心に秘密を抱えていて、やがて明らかにされていくのです。

この映画では、他にも「話の前に扉を閉める」「“A”の文字が打てないタイプ」等、
繰り返される事柄が鍵となっています。

物語は、主人公が関わった25年前の殺人事件を軸に、未だ彼の中でケリのついていない事柄を
再認識し、それと向き合うという展開です。それによって新たな事実も判明するんですが。
ちゃんと伏線が張ってあったのに驚いてしまったラストの展開は、せつないものがありました。
でも、あの後あの状況からどうなったのかちょっと気になるところ。

シリアスな中にも笑いがあり、深刻ぶったところはありません。
アル中の部下パブロの存在が大きかったですね。受電の対応も可笑しかった。
「献血センター」や「革命的戦略部隊」(←こんな機関があるというのが驚きですが)、
「精子バンクドナー課」等、最初なんのこっちゃ!と思いましたよ。

1970年代のアルゼンチンがあんなふうに腐敗した政治状況だったとしたら、
正義を行おうと仕事に携わっている人は腐ってしまいますよね。
そんな中、モラレスのあまりにも静かで温和な態度がなんか不自然やなぁとは
思っていたものの、意外性があって良かったですね。

ベンハミンもイレーネも、あそこまでお互いの本当の感情を表現しない関係というのが
なんだか控えめで、スペイン語圏の映画で描かれる男女関係にしてはしっとりと大人な感じでした。
お互いが結婚した相手の立場になれば、本当に愛してた人は私じゃなかったってどういうこと!
と、文句の一つも言いたくなるような気はしますが、まぁいいかっ。

印象に残ったモラレス役のパブロ・ラゴさんは、アルゼンチン映画「今夜、列車は走る」にも
出演されてたみたいですね。

シネ・リーブル梅田にて鑑賞。