ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「エーゲ海の天使」 〜一見のどかな反戦映画〜

Mediterraneo

監督:ガブリエーレ・サルヴァトレス
脚本:ヴィンチェンツォ・モンテレオーネ
製作:ジャンニ・ミネルヴィーニ、マリオ・チェッキ・ゴーリ、ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ
撮影:イタロ・ペットリッチョーネ
音楽:ジャンカルロ・ビガッツィ
(1991年 イタリア製作 96分)
原題:Mediterraneo

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1941年、エーゲ海の小島に8人のイタリア兵が上陸した。
8人は落ちこぼればかりで、物音に怯えて動物に発砲する始末。
おまけに無線機も壊れ、戦艦も爆撃にあい、本部と連絡を取る手段を失った。
やがて島民たちに暖かく迎えられ、戦争からかけ離れた平穏な生活を始める…。
(「洋画★シネフィルイマジカ」のサイトより転記させていただきました)

イエジー・スコリモフスキ監督の新作を観に出かけるつもりでしたが、
夏バテなのかミョーに体がだるい!
家でゴロゴロしていたら、NHKプレミアムで放送された「100年インタビュー」の
新藤兼人監督の回が再放送されていました。
番組の最後、渡邊あゆみアナウンサーに「上手くいった?」とたずね、
上手くいきましたと返事があった時の、監督の笑顔が最高に可愛かったです。
偶然この番組を見ることができて良かったなぁ。

今日は、以前「洋画★シネフィルイマジカ」で放送され録画しておいた、この映画を家で見ることに。
偶然にも、一昨昨日見た「人生、ここにあり!」の主演クラウディオ・ビジオが出演していました。
ここでも彼は、いい味出してます。

そういえば「人生、ここにあり!」に出てくるメンバーもそれぞれ個性的でしたが、
この映画のイタリア兵士達も、個性派ぞろいです。
絵を描くのが趣味のインテリ中尉、身重の妻恋しさに脱走を繰り返す兵士、
ロバを愛する男、純情無垢な青年、山育ちで海に弱い兄弟、
肉体派な軍曹とその軍曹にピッタリ寄り添う無線技師。

シビアな戦闘シーン等は一切でてきませんが、戦争によって多かれ少なかれ人生を翻弄されるのは
普通の人々なんやですよね。船で島を脱出したノヴェンタのその後はどうなったのでしょうか。
地道に生活を営んでいる者にとって、戦争なんて迷惑なだけ。
とにかくそっとしておいて欲しいという思いがわき上がってきます。

この映画でも、性をあっけらかんと描くイタリア人気質がうかがえました。
食と性は、生きていく上でとても大事なものなんだと思います、きっと。

ただ、島で3年半も暮らしていた設定ならば、もう少し島での生活感(生きるための仕事等)が
描かれていると、普通の生活の素晴らしさがより表現できたのかなぁ等と思ってしまいました。

最初に出てきた言葉
「あの時代を生き延びて夢を見続けるには-逃亡するしかなかった」(アンリ・ラボリ)と、
最後の「今 逃亡中のすべての人にささげる」が
この映画のすべてを表しているのかもしれません。