ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ディーバ」 〜歳を重ねるのも悪くない〜

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監督:ジャン=ジャック・ベネックス
脚本:ジャン=ジャック・ベネックス、ジャン・ヴァン=アム
製作:セルジュ・シルベルマン
音楽:フィリップ・ルースロ
(1981年 フランス)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
ティーバは歌の女神。パリの18歳の郵便配達夫ジュールは、ステレオ・カセットつきのバイクで
町を走りまわり、倉庫を改造してスクラップ・カーをオブジェとして飾ったロフトに住んで、
いつもオペラをきいている。ジュールのディーバは美しい黒人歌手シンシア・ホーキンスだ。
(パンフレットより転記させていただきました)

この時代の新しい感覚があちこちにちりばめられ、
ロマンス・サスペンス・アクションと多様な要素を含んだ作品。
とはいえ、上映当時若造だった私には、ジュールとディーバの関係性等、
今ひとつピンとこなかった部分もありました。
今回、あらためて見てとても楽しめたのは、歳を重ねたおかげかもしれません。

ジャン=ジャック・ベネックス監督の、初の長編作品なんですね。ホーッ
30年近く前(家にあるパンフを見ると1983年11月発行とあります)に
この作品を観た時には、そんなこと気にも留めてませんでしたが。

ディーバが歌うオペラ“ワリー”のアリア「さよなら故郷の家よ」、
これを聴くだけでも、この映画を劇場で観る価値があるんじゃないでしょうか。
正直、このシーンが一番好きです。何度でも観たい。

郵便配達夫の青い制服に黄色いモーターサイクル。この色のコントラストの可愛いこと!
フレデリック・アンドレイ演じるジュールのスラリとした手足は美しいけど、
いかにも甘ちゃんな上目使いの目線には、やっぱりイラッとしてしまう私。
我ながら、包容力の無さは歳をとっても変わらないんやなぁと認識しました。

対するリシャール・ボーランジェ演じるゴロディシュは、カッコいいですね。
彼と暮らすベトナム少女の生意気な振る舞いも良いアクセントになっていて
このカップルは、やっぱり面白い。少女がベトナム人という設定や、
ゴロディシュの部屋に流れる音楽がホーミーだったり、
ベネックスの東洋への感心が垣間見える気がします。

ところでリシャール・ボーランジェは、あのロマーヌ・ボーランジェのお父さんなんですね。
こういう情報も、今はすぐわかる時代なんやもんなぁ。

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ジュールとディーバことシンシアが二人きりで過ごす夜明けのパリ。今観ると、とても美しいです。

TOHOシネマズなんばにて鑑賞。