ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

何も変えてはならない

nechange

公式サイト

監督・撮影:ペドロ・コスタ
編集:パトリシア・サラマーゴ
録音:フィリップ・モレル、オリヴィエ・ブラン、ヴァスコ・ペドロソ
音楽:ピエール・アルフェリ、ロドルフ・ビュルジェ、ジャック・オッフェンバック
製作:アベル・リベイロ・チャベス
(2009年 ポルトガル/フランス)

※ネタバレ含みます。

フランス人女優ジャンヌ・バリバール。歌手としての彼女の音楽活動の軌跡を、
ポルトガルの鬼才ペドロ・コスタが独自の視点で映画にした作品。

この音楽を受け入れられない限り、見ていてツライな〜。

ジャンヌ・バリバールの音楽活動がどの様なものなのか、全く予備知識なしで
観に行ったんですが。。。。
正直、その音楽がクオリティ低すぎてちょっと引いてしまう部分が多々ありました。
ポピュラー音楽上では好みの問題と解釈もできるとは思うんですが、
オッフェンバッハのオペレッタでは、最低限のレベルに達してないと素人目には映ってしまい。

ペドロ・コスタは、別にバリバールの音楽に共感して撮ったわけではないやろうし、
彼女の音楽そのものを映画にしたかったわけでもないというのは理解できても、
やはりその殆どの部分を占める音楽に対して、全く共感できないというのは
見ていてあまり気持ちがよくないというか。

それでも「ラ・ペリコール」のレッスンの様子は、興味を惹くものがありました。
「音がとれてない」だの「発音が違う」だのと、先生にさんざん指摘されているバリバール。
で、繰り返していくうちに「もうイヤ」なんて言う始末。それでも先生になだめられて
なんとか続けますが、仕舞にはアクビまでして。。。。このむき出しな感じがなかなか面白かったです。

ヴァンダの部屋」では、被写体と監督のある種緊張感のようなものがたまらなく面白く感じたんですが、
今回監督がジャンヌ・バリバールを撮る特別な意味というのは、私自身にはあまり伝わってきませんでした。

フィルム・ノワールを思わせるような映像も、この内容に対して特に好ましいとは思えない。
あれ、目に悪いですよね。映画館を出た時、目がチラチラしてクラクラッときてしまいました。

唯一かっこよかった曲は、この映画のタイトルでもある曲。
サンプリングされたゴダールの声から始まる「何も変えてはならない」でした。
 
機材の上に飲み物を置いたり、歌手がたばこを吸う姿に反応してしまう私は神経質なのかなぁ。
"スタッフ・ベンダ・ビリリ"の、あの魂のこもった歌や演奏を聴いてしまった後だけに、
その音楽活動がプチブルのお遊び的に見えてしまった。。。。と言うのは辛口すぎるでしょうか。

念の為に、これはあくまでも好みの違いから生じる感想かもしれませんので、ご理解ください。

シネ・ヌーヴォにて鑑賞。