ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

フローズン・リバー

映画『フローズン・リバー』

公式サイト:http://www.astaire.co.jp/frozenriver/

監督・脚本:コートニー・ハント
製作:ヘザー・レイ / チップ・ホーリハン
撮影:リード・モラノ
プロダクションデザイン:インバル・ウェインバーグ
編集:ケイト・ウィリアムズ
音楽:ピーター・ゴラブ
(2008年 アメリカ)

【ストーリー】
夫に新居購入費用を持ち逃げされた妻のレイ(メリッサ・レオ)は、
支払期日までに金を工面するため、移民をカナダ側で車のトランクに積み、
セント・ローレンス川を越えアメリカ側に不法入国させる闇の仕事に手を染める。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

凍てつくような寒さの中、食べていくのにもギリギリな厳しい生活。
それでも、子供たちの目はキラキラしてる。

いかにも生活に疲れた中年女性。その目には涙。そこに過酷な現実があることを
雄弁に語るような冒頭のシーン。ムムッ、これはなかなか期待大です。

最初は全くいい印象のなかったモホーク族のライラ。彼女も悲惨な過去の経験からか
心を閉ざしてはいるけれど、人とのつながりを求めていないわけではない事が
あきらかにされていきます。

TJの存在が嬉しかったなぁ。こんな健気な男の子がいたら、ギュギュッと抱きしめたい。
たとえ致命的な欠点がある父親だとしても、彼にとっては最愛の存在だというのが伝わってきて
胸にせまるものがありました。
レイが父親に対してガミガミ言い過ぎ、等というTJの言葉は、
子供は親の事を普段からよく見てるのを象徴するような、リアルなセリフですね。

厳しいシリアスな物語でありながら、根底には暖かいものが流れているせいなのか
ほんの少し前向きになる事ができるような、そんな後味もいいですね。
新しい家族の形が生まれたようなそんなラストが、そしてTJの手作り
円形回る遊具が良かった〜。

また、ハラハラドキドキさせられるシーンもあり祈るような気持ちになりました。
決して突飛ではなく丁寧に練り上げられた脚本と、出演者達の誠実な演技により
クオリティの高さにおいても推薦できる映画だと思います。

シネ・リーブル梅田にて鑑賞。