ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「僕が星になるまえに」 〜そこは譲れない〜

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公式サイト:http://www.boku-hoshi.com/

監督:ハッティー・ダルトン
脚本:ヴォーン・シヴェル
(2010年 イギリス制作 93分)
原題:THIRD STAR

※ネタバレ含みます

【ストーリー】
29歳の誕生日を迎えたばかりのジェームズ(ベネディクト・カンバーバッチ)。
しかし、末期ガンに冒された彼に残された時間は多くなかった。
ジェームズは、三人の親友、デイビィー(トム・バーク)、
ビル(アダム・ロバートソン)、マイルズ(JJ フィールド)を誘って
“世界で一番好きな場所”ウェールズ地方のバラファンドル湾へ
キャンプ旅行に出かける。
 (公式サイトより転記させていただきました)

先週、この後に見た「いとしきエブリデイ」がなかなか良かったので
この映画の印象が飛んでしまいました(汗) 
記憶があやふやですが、思い出せる範囲で記録しておこうと思います。


とりあえず、放題がダサすぎ!!!でしょ。

死期が近いと感じているジェームズが友人3人を伴い、大好きな場所を
目指す行程が描かれます。野郎ばかりでむさ苦しい(笑)
末期ガン患者が主人公なのですが、さほど悲壮感もなくセンチメンタルでもなく、
道に迷ったり、荷物無くしたり、喧嘩したりと珍道中的要素が多くって、
もうちょっと計画性持って行けないのかなーとか、見ていて思うほどです。

ビルとマイルズは悪ふざけが好きで、中学生かっ!っていうノリですが
そんな二人にちょっとカチンときているのがデイビーです。
デイビーは失業中で、普段はジェームズの世話をしているのですが、
旅行中もジェームズに薬を飲ませたり、何かと彼を気にかけているので、
真面目にならざるを得ない部分もあるのですよね。

また、ビルとマイルズは仕事やプライベートでストレスを抱えていて、
それを表には出さないようにしている反動もあって、悪ノリしているのかも。

しかし、口論の一番の原因はジェームスで、彼は友人の人生を辛辣に
批判するのです。そして、自分ならもっと有意義に生きられるのに、
もうすぐ死ぬのは不公平だとも言ってのけます。

いやー、いくら追いつめられてるとはいえジェームズのこの発言、
かなりイヤなヤツですよね。いいように解釈すると、
「いつ終わるかわからない人生を、後悔のないように生きて欲しい」
という彼から友人達へのメッセージかもしれませんが、
この時点では、ジェームズ自身にそんな意識はなかったと思います。
後々、友人達がそんな風に捉える時が来るかもしれませんけどね。

この主人公は、最後の最後に利己主義でした。あれほど好き放題
人を批判していたのに、結局は友人達に責任を押し付けようとします。
「自分で出来る事は自分でやろうよ!」とジェームズには言いたい。
私が友人だったら、許さないだろうなー(怒)

ラストのあの展開は、個人的に受け入れがたいのです。それでも、
ウェールズの何もない素朴な景観と、喧嘩しながらも許し合える
彼らの関係性を見ていると、あんな気ままな度に出かけてみたいという
気持ちになります。

Benedict Cumberbatchのファンには楽しめるシーンも。
冒頭のジェームズの語りで、彼の素敵な声も堪能できますしね。
また、村の祭りで巻き起こった喧嘩の輪に突撃するジェームズの雄叫びが
“Starter for 10”のワッツ部長が慣れない喧嘩をする時のソレと
同じだったのには、ニヤッとしました。

デイビー役のTom Burkeの演技が繊細で、一番心寄り添えました。
彼のお父さんは、グラナダ版ホームズでワトスン役(初代)だった
デビッド・バークさんとの事。見た目は全然お父さんを連想させない(笑)
お母さん似なのかな?


梅田シネ・リーブル にて鑑賞。