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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「あしたのパスタはアルデンテ」 〜他人が望む人生なんてつまらない〜

映画 あ行

MINE VAGANTI

公式サイト:http://www.cetera.co.jp/aldente/

監督・脚本:フェルザン・オズペテク
脚本:イヴァン・コトロネーオ
撮影:マウリツィオ・カルヴェージ
編集:パトリツィオ・マローネ
音楽:パスクァーレ・カタラーノ
美術:アンドレア・クリザンティ
衣裳:アレッサンドロ・ライ
プロデューサー:ドメニコ・プロカッチ
(2010年 イタリア 113分)
原題:MINE VAGANTI

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
パスタ会社社長の息子トンマーゾ(リッカルド・スカマルチョ)は、
家族には経営学部と偽って文学部を卒業し、小説を執筆していた。
さらに大きな秘密を抱える彼は、長兄のアントニオ(アレッサンドロ・プレツィオージ)が
新社長に就任する食事会でそのことを告白しようとした矢先、
兄が驚がくの秘密を発表。トンマーゾは何も言い出せないまま、
兄の代わりに会社の経営を任されてしまい…。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

予告編を見た時点でプロットがほぼわかってしまうこの映画ですが(苦笑)、楽しかったです。
家族におきる問題を、イタリア映画らしい陽気さで包んで描いています。

舞台は南イタリアレッチェ。そこには振り注ぐ陽光に美しい海岸、歴史を感じさせる石畳の街並み、
美味しそうな料理やケーキ、そして家族の賑やかな笑い声があります。
一方、ここは歴史ある地方都市でもあり、住む人達の多くは保守的で封建的な考え方ようです。
ゲイなんて、とんでもないんです。まぁ、カトリックの国ですもんね。

少々大げさに描かれているのかもしれませんが、トンマーゾの両親の
「息子がゲイなら気づいたはず」という思い込みや、「ゲイは治るのか」と
マルコに尋ねる様子にはちょっと驚かされます。

兄のアントニオは「副王家の一族」の主役アレッサンドロ・プレツィオージですが、
この映画でもあんまり素敵に思えなかった。30年間も秘密を隠すのは勝手やけど、
従業員を保身の為にクビにするなんて人間としてどうよ!と思いましたし、
進学の為にローマに出て行った弟を長い間逆恨みしてきたとは粘着質の性格やなぁと
愛すべきキャラクターの多いこの映画の中で、アントニオという役には好感持てなかったんですよね。

逆に欠点があっても可愛いなと思えるのが、アル中の叔母ルチアーナや
共同経営者の娘で情緒不安定なアルバ。特に、アルバのドレスや靴などファッションが
いかにもイタリアらしく、この女優さんにピッタリ似合ってて目の保養になりましたわぁ〜。

姉のエレナとその夫サルヴァトーレも、どこかおとぼけで可愛いし(ラストのダンスシーンでの
サルヴァトーレの表情も可笑しかった)、祖母に「可愛げのない子だね」と言われる
メイドのテレザや、トンマーゾのマッチョな友人達も作品に面白さを加えてました。

“ゲイ”であるという事だけではなく、自分を偽らない生き方をする事の大切さを、祖母は所々で語ります。
たとえそれが困難に見える選択であっても、あえてそうするべきだと。
しがらみがあればあるほど、本来の自分を解放する事は難しいのかもしれませんね。

HPでは、映画のタイトル「浮遊機雷」(MINE VAGANTI)という名のパスタのレシピが掲載されています。
松の実とミントを入れたこのパスタ、一度作ってみようかな。

シネマート心斎橋にて鑑賞。