ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ロストロポーヴィチ 人生の祭典

監督 アレクサンドル・ソクーロフ
(2006年/ロシア)
梅田ガーデンシネマにて鑑賞。
「知識は無いけど観ちゃいましたシリーズ(?)」その1です。

今年4月、惜しくも他界した世界的チェリストムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
彼と妻であるロシアの国民的オペラ歌手ガリーナ・ヴィシネフスカヤの、
波乱の人生や芸術への信念を、アレクサンドル・ソクーロフ監督の
インタビューを交えながら、紐解いていくドキュメンタリー。

タイトルこそ、「ロストロポーヴィチ...」となっていますが、
これはもちろん、彼と妻、二人の物語です。というか、私には
監督がヴィシネフスカヤにより惹き付けられているように感じられました。
私自身がそうだったように。

ロストロポーヴィチの様に愛情に恵まれた子供時代を過ごした快活な性格の人物よりも
むしろ、不幸な子供時代をおくり、強い意志を感じさせる瞳をもつ
ヴィシネフスカヤに興味を持つのは当然の事だと思えますが、それだけではなく、
ヴィシネフスカヤは芸術家でありながら、慈愛に満ちたまさに大地の様な母
そのものに思え、魅了されてしまいました。

それにしても、二人の芸術に対する情熱にはこちらまでも熱い気持ちにさせる何かがあります。
作り物でない、人の生き様やパーソナリティを感じる事ができるのは
ドキュメンタリーの醍醐味ですね〜。

映画の中で、一般の聴衆をとらえた映像がすごくいい!
みんなロストロポーヴィチを愛している、すばらしい表情。
こういう人達の存在が愛おしく思えて、少し幸せな気持ちになりました。