ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト

毛皮のエロス~ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト~

監督 スティーヴン・シャインバーグ
(2006年/アメリカ)

【物語のはじまり】
1958年のNY。写真家の夫の助手を務めるダイアン(ニコール・キッドマン)は、
アパートの上の階に越してきたマスク姿の男、
ライオネル(ロバート・ダウニー・Jr)に心ひかれる。
その姿を写真に収めたい欲望が沸き起こったダイアンは、やがて、彼の部屋を訪れる。

テアトル梅田にて、鑑賞(上映後、初の水曜日にもかかわらず、ガラガラ)。
もう、DVD出てるんですね。知りませんでした。
あっ、でも劇場向きの映画かな。

この作品は、ニュー ヨークのサブカルチャーを代表する写真家
(らしいですが、存じ上げません)
ダイアン・アーバスに対するオマージュという事ですが。。。

のっけから、全裸の男女がフツーに生活している風景が出てきて、
その滑稽さに(本人達は大真面目だと予測できるだけに)ちょっと笑ってしまった。
リアルに不格好な彼等と、美しいニコールとが対照的。

N.キッドマンは特に好きなタイプの女優ではないのですが、
この映画はなんとか彼女でもっている様に感じました。
良妻賢母でありながら、自分の中の何かをもてあましている主人公
(あくまでもフィクションという事なので)を上手く演じていました。
(「アザーズ」でも素晴らしかった。こちらは作品自体もすごく良かったし。)

狂気を内に秘めた役といえば、「めぐりあう時間たち」でも
ヴァージニア・ウルフ(彼女もダイアン・アーバスと同じく、自殺していますね)を
完璧に演じていました。やはり、すごい女優だと思います。

個人的には好きなタイプの映画ですが、今ひとつ主人公の心の葛藤等が
伝わってこないというのが正直な感想です。
ライオネルに惹かれていく過程も唐突すぎる様な気がするし。
(それまでに、主人公の性癖についての説明シーンが欲しかった)

ただ、ライオネルの部屋を初めて訪れる時のドキドキ感や、
あの部屋、小道具等、けっこう惹かれるディティールが所々にあります。
(ラストあたりも、結構好き)
毛の間からのぞくR.ダウニー・Jrの目が、なんだか物悲しくて可愛かった。

ちなみに、この監督さん(スティーヴン・シャインバーグ)は、
デビッド・リンチ監督作品のファンらしいです。ちょっと納得。