ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

モリエール 恋こそ喜劇

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監督・脚本:ロラン・ティラール
脚本:グレゴワール・ヴィニェロン
撮影:ジル・アンリ
美術:フランソワーズ・デュペルテュイ
衣装:ピエール=ジャン・ラローク
音楽:フレデリック・タルゴーン

【ストーリー】
1644年、22歳の駆け出しの劇作家モリエールロマン・デュリス)は
前年に旗揚げした劇団の借金が膨れ上がり、債権者から追われていた。
多額の借金に苦しむ彼は、金持ちの商人ジュルダン(ファブリス・ルキーニ)に窮地を救われる。
借金の肩代わりと引き替えに、ジュルダンの演劇指南役として雇われることになったモリエールは……。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

公式サイト

「悲しい出来事の側面には喜劇がある」

オープニングクレジットの背景には、緞帳と思われる魅力的なファブリックの数々。
緞帳だけに、まさに華麗な幕開けといったところでしょうか。

やっぱりフランスのコスチューム・プレイには、ワクワクしますねぇ。コメディとなるとさらに。
こういった美しい生地や調度品、衣装等を見ていると、特権階級として貴族社会が栄え、
貧富の差が激しかった時代もムダではないなぁと思ってしまいます。

モリエール」といえば、フィリップ・コーベールが演じた作品(1978)を若かりし頃
見に行ったんですが、とにかく長くて途中で寝てしまった記憶しかありません。
正直、あの頃は今と違って劇場でうたた寝する事が多かったですねぇ。若さゆえ〜
フィリップ・コーベールに華がないというのも、要因の一つかも(これって失言かなぁ)。
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↑とにかくもう一度、ちゃんと観たい作品なんです。

で、今日はロマン・デュリスの「モリエール」です。特に彼のファンというわけではないんですが、
デュリスが出演してるとなんだか面白い作品かもという期待が高まります。
今回もちょっとキモい笑顔で(笑)、モリエールってこんな人やったんかもと思わせてくれました。
特に、演技の指導で馬になってみせるシーンは圧巻でした。上手いですね〜。

けど、なんといってもファブリス・ルキーニ! 目立ってましたね。彼特有のトホホ感がいつもの7割増しで。
初めてセメリーヌに会うシーンも可笑しかったけど、ちょっとやり過ぎかなぁ。
逆に彼女のサロンで開き直ったシーンは良かったなぁ。スッキリ!

過去記事を見てみると、映画「PARIS」の感想でもルキーニについては好き勝手な事言ってました、私。ハハハ

ラウラ・モランテが出てたのも嬉しい。フランス人女優ではちょと出せなかったかもと思う
包容力みたいなものを彼女には感じます。貴族役ではなく、商人の妻という役柄なのも良かった。

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唯一、リュディヴィーヌ・サニエはセメリーヌ役にどうやったんかなぁという印象でした。
頭の回転が速いタイプにはとても見えないのが原因だと思います。
オゾンの「スイミング・プール」で演じてた、何も考えてない風オネエちゃんの印象が強すぎるのかも。

モリエールの作品は読んだ事がありませんが、「人間嫌い」や「町人貴族」をモチーフにしているらしいので、
知っていたらコネタでもっと楽しめたかもしれません。あっ、でも充分楽しかったですよ。ほんと、楽しい。

何度か出てきた「マダム」「ムッシュ」と言葉を掛け合うシーン、印象に残ってます。この間がいいわぁ。

テアトル梅田にて鑑賞。