ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

空気人形

空気人形 O.S.T.空気人形 O.S.T.
(2009/09/25)
world’s end girlfriend

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監督・脚本・編集・プロデューサー: 是枝裕和
(2009年 日本)

【ストーリー】
レトロなアパートで秀雄(板尾創路)と暮らす空気人形(ペ・ドゥナ)に、
ある日思いがけずに心が宿ってしまう。
人形は持ち主が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、
一人で街歩きを楽しむようになる。
やがて彼女はレンタルビデオ店で働く純一(ARATA)にひそかな恋心を抱き、
自分も彼と同じ店でアルバイトをすることに決めるが…。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

生々しい現実とファンタジーが交錯する。

日曜日、バレエ友達のシロさんとレッスン帰り急きょ観に行く事に。
誰かと一緒に映画を観るなんて、何年ぶりだろっ。
上品で大人な彼女だから、一緒に映画を観ることは全く問題なしでした。
むしろ鑑賞後、他の人の感想をすぐに聞けたというのは新鮮やった。

おーっ、しかしこんなに賑わってるとは。立ち見が出そうな勢い。
是枝監督だからでしょうか。割とマニアックなイメージ(なんせ空気…やから)の
映画だと思ってたので、意外〜。というか、こういう映画に人気が集まる日本て
なんかちょっとすごい様な気がする。

始まって早々、人と深く関わる事を望まない中年男と人形のベッドシーン。
エグい場面に正直ひるんでしまいました。

舞台となる町には、空虚な心で毎日をやりすごしている人たちが登場します。
町の風景もなんだかうす汚れて見えてしまう。

人間の持ってるわびしくて惨めな部分が白日の元にさらされてる様な、
そんな観ていて落ち着かない部分もこの映画にはところどころあります。
半透明ビニール袋の中の人間は怖すぎる。→ここの展開にはちょっとビックリしました。

けど、ペ・ドゥナさん演じる人形は生まれたての子供の様な心なんですねー。
彼女がいろんな物を吸収していく様子に、こちらも深呼吸したくなる気分。
船で川をくだりなから、胸いっぱいに空気(!)を吸い込むシーンは幸せ。
人形作者との会話も心あたたまる素敵なシーンだった。
オダギリ・ジョーはこうゆう脇役の時が素敵ですね。

知らない間に手垢だらけの心になってしまってるのかもと、自分自身について
考えさせられました。
真っ白な気持ちで色んなものを見られたら、たとえ現状が変わらなくても
少し違う世界が見えるかもしれない。そんな事を今思っています。

人形との恋愛といえば「ラースと、その彼女」が忘れがたい映画です。
こちらはなんだかもっと可愛い作品でしたが(正直「ラース…」の方が好み)。
また、うっきうきで浮き上がるシーンは「地上5センチの恋」を思い出させます。

けどなんといっても一番印象的なのは、人形のお腹から空気を吹き込むシーン。
「あなたの息で私の体を満たして」なんてうーん、すごくエロティックです。
是枝監督じゃないけど、ペ・ドゥナをずっと見てたかった。
ラストシーン、綺麗でした。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。