ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

今宵、フィッツジェラルド劇場で

監督 ロバート・アルトマン
(2006年/アメリカ)

昨日の続きですが、2本目はこの作品を観賞。

【物語のはじまり】
ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場では、
長年公開中継されてきたラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」が
まさに最終回の放送をむかえようとしていた。
楽屋で待機する出演者や私立探偵気取りの保安係ガイ・ノワール。
やがてショウが始まり、白いトレンチコート姿の謎の美女が現れる。
そんな中、出演者の一人の死が楽屋で発見されて。。。

正直、1回観ただけではいつも消化しきれないんです、アルトマンの映画って。
特に「ショート・カッツ」みたいな、いろんなストーリーが平行して進行
していくタイプのものは。
(このタイプで非常にわかりやすいものでは、リチャード・カーティス監督の
ラブ・アクチュアリー」なんかがありますが。)

しかし、この作品に関して言えば、それはあてはまりません。
物語は淡々と、一筋の川の様に(枝葉はあっても)流れていきます。

この映画を観て良かったのは、プロダクション・ノートに記載の
「素朴だが洗練され、粋だがオシャレではない」(ぴったりの表現です)
公開ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン(映画原題)」と
同司会者ギャリソン・キーラーを知った事です。
ギャリソン・キーラーのそれは、まさに名人芸です。アメリカならではの
ザ・エンタイテイメントですね。

私が創造しうる範囲でのアメリカ中西部的世界を、まさに中西部出身の
アルトマンが、楽しんで造ったという感じがしました。
ゴスフォードパーク」なんかでは、1930年代のイギリス貴族社会という
なじみのない世界をがんばって撮ってみました感が出てたと思うのですが、
この映画に関しては全く力入ってないのぉ的なリラックスした感じがありました。

アメリカのルーツ・ミュージックの世界や文化に興味をお持ちの方は
ぜひ観に行って下さい。
しかし、物語の起承転結や盛り上がりを期待される方にはお勧めできません。