ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「いろとりどりの親子」〜幸せの形も人それぞれ、精神の自由が重要だっ!〜

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公式サイト:http://longride.jp/irotoridori/

監督・製作:レイチェル・ドレッツィン
製作:ジャミラ・エフロン、アンドリュー・ソロモン
製作総指揮:ジェフ・スコール
(2018年/アメリカ/93分)
原題:Far from the Tree

※ネタバレを含みます

【ストーリー】
10年をかけ、さまざまな“違い”を抱える子を持つ300以上の親子に取材したノンフィクション本「FAR FROM THE TREE」
世界中でベストセラーとなったこの本の映画化では、様々な親子の歩みが映し出される


ゲイである著者自身は「自分を理解するため、両親を許すため」に原作を書いたと語っています
ここに登場する人達は子供のありのままを受け入れ、その子供達を全身で肯定しています
様々な個性を持つ子供達の姿から、元気をもらいました


ダウン症のジェイソンの場合

母エミリーが彼を産んだ際、医者から言われた言葉が酷すぎて驚きます
しかしエミリー夫婦は彼の可能性を信じ、やがてジェイソンはダウン症の人々の可能性を世に示す代弁者として人気を博し「セサミストリート」にも出演

現在、44歳のジェイソンはラジオ局に勤め、友人3人と共同生活を送っています
私から見ると羨ましいくらい、仲間にも恵まれ平和な暮らしを手に入れ、幸福そうに見えるのだけれど。。。。
エミリーはジェイソンが退屈しているのでは、と少し不満な様子
彼が、ディズニー・アニメ「アナと雪の女王」のエルサに夢中すぎるのも気がかりらしいけど、かつてのように社会的に意義があるとわかりやすい活躍を彼にして欲しいのかもしれません
親子の関係は、私が考えるより複雑なのかもしれないなー


自閉症のジャックの場合

ホームビデオを見ると、2歳頃までは無邪気に笑っていたジャクが急に不機嫌な表情しか見せなくなる
そこから、両親の葛藤が始まります

しかし、ある医者と出会った事で両親はジャックの本当の気持ちを知るきっかけをつかみ、タイピングで自分の言葉を伝えることが可能となった彼は持ち前のユーモアを発揮しています
ここまでたどり着くのは両親にとって長い道のりだったんだろうなーと感じるインタビューや、初めてジャックの気持ちが表面に現れた際の両親の表情など、映像作品ならではの感動があります

NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」で知った東田直樹さんの事を思い出しました

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)


低身長症のロイーニと、リアとジョセフ夫婦の場合

家族が過保護気味だと残念そうに話すロイーニですが、「リトル・ピープル・オブ・アメリカ」の年次大会に参加し、理解しあえる仲間と初めて出会います。
家族とは別に「仲間」がいるって、本当に素晴らしい!
私には仲間と言える人はいるか?! と自問自答してしまう

同じく低身長症のリアとジョセフは、常にポジティヴでチャーミング!
「体が不自由なら精神も不自由だと、見た目で判断される」と言うジョセフですが、精神的な豊かさを持つこの夫婦からは学ぶところが多いと感じます


そして、16歳の息子が殺人容疑で逮捕されたデレクとリサの夫婦の場合

彼らは、精神分析医を雇い何故子供が殺人者になってしまったか調べても答えが出ません
「8歳の少年を殺害する」という犯罪だから、他のケースとは一線を画すと感じます。
見ているこちらは、被害者側の事を先に考えてしまい複雑な気分になるし

しかし、その行為を受け入れる事ができなくても、両親が我が子を愛していることに間違いありません
「愛と受容は同じではない」
唯一、出口の見えない辛いケースかもしれないと感じました


ただ、この映画に登場する家庭は、いずれも「子供への愛」が根底にあります
正直、そこが重要なんだと思います
親に愛されない子供達も周りがバックアップできる、そんな社会にしていかねば! 
と、最後はなんか脱線してしまった


シネ・リーブル梅田にて鑑賞