ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「オン・ザ・ロード」 〜共感できない〜

ON THE ROAD.jpg

公式サイト:http://www.ontheroad-movie.jp/ 音が出ます!

監督:ウォルター・サレス
製作:フランシス・フォード・コッポラ
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
原作:ジャック・ケルアック
(2012年 フランス/ブラジル製作 139分)
原題:ON THE ROAD

※ネタバレ含みます。

【この映画について】
ジャック・ケルアックが1957年に発表した「路上/オン・ザ・ロード」は、
1950年代アメリカのビート・ジェネレーション文学の代表作であり、
その後のカウンターカルチャーの時代に“ヒッピーの聖典”となった青春小説の名作である。
(中略)
若き日のチェ・ゲバラの南米大陸縦断の旅を描いた2003年作品『モーターサイクル・ダイアリーズ』に
感銘を受けたコッポラは、それを手がけたブラジル人のウォルター・サレスに監督をオファー。
両者の8年にもわたる粘り強いコラボレーションが実を結び、
ついに伝説的な小説の初めての映画化『オン・ザ・ロード』が完成した。
(公式サイトより転記させていただきました)

原作はこちら↓

ビート・ジェネレーション文学はもちろん、アメリカ文学にはほとんど馴染みがないし
全くピンとこないのですが、原作は切り離してこの映画だけに関して言えば、
全く乗れなかった というのが正直な感想です。

まず、主人公で物語の書き手でもあるサル(サム・ライリー)が大きな影響を受ける
ディーン(ギャレット・ヘドランド)に、何のカリスマ性も感じられません!
演じるギャレット・ヘドランドは見ていて、性依存症の無責任男にしか見えないのが悲しい。
駐車場で華麗なドライブテクニックを見せる彼の一面なんかは、興味深い描写だったので
もうちょっとディーン・モリアーティ(このファミリーネームには反応してしまいました)の
内面が見えるエピソードが欲しかったかな。

次に、友情が描かれているようでいて、実はそこに友情が存在しなかったのが残念。
というよりも、サルは友人として頼れる男なんだけど
ディーンは全くお話にならない。それはラスト近くの展開で明らかになりますが、
それ以前から、彼の醸し出す雰囲気でうすうすわかってしまいます。

友情ではなく愛憎劇という点では、カルロを演じたトム・スターリッジは、
めんどくさい性格のゲイ役が上手くて、なかなかのキャスティングではないかと。

さらには、せっかくのロードムービーなのに旅での出逢いが少ないですね。
知らない人や未知の出来事との出逢いがないじゃないですか〜!
サルが一人で旅した際には出逢いと経験があったようなのに、
そこは139分の内のほんの少しの尺しか割かれてなかったし。
これじゃ、仲間内で群れてウダウダしてるだけに見えてしまいます。

私は、群れたり、誰かと一緒に行動する人よりも
原則的には一人で行動しちゃう人が好きなんで
イントゥ・ザ・ワイルド」(2007年)なんかの方がずっと
好感が持てたし、共感する部分もありました。
アウトローな若者のロードムービーという点では、
イージー・ライダー」(1960年)から感じたような
心に突き刺さる“何か”もなかったし。

と、否定的な事ばかり綴ってしまいましたが、
主役のサム・ライリーからは作家の持つ感性のようなものが感じられて
良い役者さんだなぁと思いましたよ。
また、ヴィゴ・モーテンセン(あのウィリアム・バロウズ役)や
スティーヴ・ブシェミなど、脇役が面白くて、
特にエイミー・アダムスのぶっ飛び加減がとても素敵でしたわ♪

大阪ステーションシティシネマ にて鑑賞。