公式サイト:http://www.bitters.co.jp/omiokuri/
脚本・制作・監督:ウベルト・パゾリーニ
制作:フェリックス・ヴォッセン / クリストファー・サイモン
撮影監督:ステファーノ・ファリヴェーネ
編集:トレイシー・グレンジャー / ガヴィン・バックリー
音楽:レイチェル・ポートマン
美術監督:リサ・マリー・ホール
衣装:スージー・フィギス
メイクアップ・ヘアデザイン:エマ・スレイター
(2013年 イギリス/イタリア制作 91分)
原題:STILL LIFE
※ネタバレを含みます
【ストーリー】
ロンドンの南部、ケニントン地区の公務員、ジョン・メイ、44歳(エディ・マーサン)。
ひとりきりで亡くなった人の葬儀を執り行うのが彼の仕事。
几帳面で、何事にもきちんとしているジョン・メイは、孤独死した人の家族を見つける努力を怠らない。
彼らのためにしかるべき葬礼の音楽を選び、その人ごとに弔辞を書く。
亡くなった人々の魂が、品位ある方法で眠りにつくのをきちんと見届けるのが彼の作法だった
(公式サイトより転記させていただきました)
静かな映画。あまりにも適材適所な
ジョン・メイは死者に敬意を払い、誠実に対応します。
いわゆる“お役所仕事”と非難されるソレとは対照的です。
しかし、丁寧に時間をかける仕事ぶりゆえ、彼は解雇されてしまいます。
最後の仕事にとりかかったジョンは、これまでの調査の枠からはみ出し一歩踏み込んだ行動に出ます。
右見て左見てまた右を見て横断歩道を渡る、夕食はいつも決まったメニュー、そんな些細な描写からジョンの人となりが伝わってきます。
日常の行動をマニュアル化しているかのような彼の行動は、ちょっとした笑いを誘います。
「名探偵モンク」のエイドリアン・モンクみたいです(笑)
そんな彼にも変化の時が訪れます。
それは紅茶を頼んだ駅のスタンドで、店員に薦められたココアをオーダーしたのが始まりだったでしょうか。
ジョンはロンドンに戻る列車を見送り、ビリー・ストークという人物を知る手がかりを求め、新たな旅に出る決意をします。
役人という立場を離れ、一人の人間をしてこの仕事をやり遂げたいという情熱が伝わってきます。
ジョンの仕事は、故人の宗教や趣味・思考などを考慮して、葬儀の準備をする事。
そして、故人の遺族や生前縁のあった人を捜し出し、葬儀に招待する事。
けれど映画の中では、ほとんど彼が一人で葬儀に出て死者を見送っています。
そうした場合、この仕事は見送る人=ジョンの区切り(気持ちの整理)という意味あいを持つのかもしれません。
しかし、最後の仕事は違いました。
縁のあった人が故人を思い出すきっかけを作り、葬儀に参列したその人達がお互いを知るきっかけにもなるのです。
また、ジョン自身もこの仕事により幸せの1ページを開くのですが。。。
「どう死ぬか」ではなく「どう生きるか」についての映画です。
「死」はあくまでも考えるきっかけであって、生きている時が全てだとつくづく思いしらされます。
ジョンの仕事も一見、故人の為のようであり、実は残された人達の為なんじゃないかな〜と私は思いました。
ジョン・メイが捜すのは、ビリー・ストークの娘ケリー。
この優しい女性を演じるのは、ジョアンヌ・フロガット。
こちらもエディ・マーサンと同様、イメージそのままの役です。
彼の表情が穏やかだったのは、ケリーに対する温かい感情によるもの。
だとしたら、生きているうちに人とどう関係を築いていくか、これが肝心!という事かな〜
シネ・リーブル梅田 にて鑑賞。