ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「命をつなぐバイオリン」 〜その音色に酔いしれる〜

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公式サイト:http://inochi-violin.com/ 音が出ます!

監督・脚本:マルクス・O・ローゼンミュラー
脚本:スティーヴン・グランツ、ロルフ・シューベル、クリス・カラトマス
原作:アルト・ベルント
プロデューサー:アリーセ・ブラウナー、アルトゥア・ブラウナー
協力プロデューサー:ハンス=ヴォルフガング・ユルガン(Degeto フィルム社)
撮影監督:ローマン・ノヴォツィエン
編集:ライムント・フィーンケン
装置:ペトラ・アルベルト
衣装:ミリャム・ムシェル
オリジナル音楽:マーティン・シュトック
(2011 ドイツ 100分)
原題:WUNDERKINDER

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1941年春、ウクライナのポルタヴァ。当時、ウクライナはソ連の支配下にあった。
ナチスがその勢力を増し、ソ連に侵攻をしようとした頃、
2人のユダヤ人の子供、アブラーシャ(エリン・コレフ)という少年はバイオリンで、
ラリッサ(イーモゲン・ブレル)という少女はピアノで、人々を魅了していた。
(公式サイトより転記させていただきました)

舞台はソ連の支配下のウクライナ独ソ不可侵条約がドイツにより破られた事により、
最初はウクライナ在住のドイツ人が逮捕・迫害される事になります。
そんな状況下で、ウクライナで醸造所を経営するドイツ人一家をかくまうのは、
アブラーシャとラリッサのユダヤ人家族達です。

しかし、ドイツ軍が侵攻してきた時点で、立場は逆転するのです。
侵略地においては、ドイツ軍によりユダヤ人が迫害され、施設送り=命を奪われる事態に。
この間までは自分たちをかくまってくれていたユダヤ人家族を助けようと、
ドイツ人のマックス・ライヒ(カイ・ヴィージンガー)は思うのですが…。


アブラーシャ&ラリッサと友達になりたくて、ライヒの娘ハンナ(マティルダ・アダミック)は
両親におねだりします。最初は能天気なお嬢さんといった感じだったハンナも
イリーナ先生を襲った悲劇以後は、全く印象が変わってしまいました。
戦争が、子供に与える心的ストレスは凄まじいなぁと今更ながら思います。

象徴的なのは、森の中で鹿がひき殺されるシーンと、爆弾によってピアノが炎上するシーン。
人間のエゴによって芸術が犠牲になる事を表現しているように感じます。

それにしても、ハンナの父親は詰めが甘いなぁ。もうちょっと計画性もって
ユダヤ人家族を助けて欲しかったですね。

映画の中で演奏される曲は、アブラーシャ役のエリン・コレフが実際に弾いているらしいです。
とにかく、彼の演奏が素晴らしくて聞き惚れます。

テアトル梅田にて鑑賞。