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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「東ベルリンから来た女」 〜静かな緊張感〜

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公式サイト:http://www.barbara.jp/音が出ます!

監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
製作:フロリアン・ケルナー・フォン・グストルフ、ミヒャエル・ウェバー
撮影:ハンス・フロム
編集:ベッティナ・ベーラー
美術:K.D.グルーバー
衣装:アネッテ・グーター
音響:アンドレアス・ミューケ・ニエスカ
音楽:シュテファン・ヴィル
(2012年 ドイツ 105分)
原題:Barbara

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
ベルリンの壁崩壊の9年前—1980年夏、旧東ドイツ。
田舎町の病院にひとりの美しい女医がやって来た。
彼女の名はバルバラ(ニーナ・ホス)。かつては大病院に勤務していたが、
西側への移住申請を政府に撥ねつけられ、この地に左遷されてきたのだ。
秘密警察<シュタージ>の監視付きで。
(公式サイトより転記させていただきました)

女性主人公バルバラが、男前でかっこいい。

東ベルリンから田舎町の病院に左遷されてきたバルバラは
職場の同僚たちと距離をおいています。
それは、監視・密告される立場にあるというという理由があるからです。

そんな立場にあっても、バルバラは仕事には熱心なようで、
ある日病院に運ばれてきた少女ステラの治療にも積極的に参加します。

こういう部分、自分が今何をすべきか誰に必要とされているかを理解し
行動している点がバルバラの素晴らしいところですね。
“社会がどうあれ、自分の成すべきことをやる”という感じです。

警戒心のあまり態度のとげとげしいバルバラですが、
西側に住む恋人ヨルク(マルク・ヴァシュケ)と密会する時は別人のようです。
この恋人なんとなく能天気な感じで、何故彼女が好きになったのかよくわからない。。、、
というのは、作り手側の罠にまんまとはまったという事なのかもしれません。
病院の同僚でバルバラに好意的なアンドレ(ロナルト・ツェアフェルト)と
対照的にみせるためという気もします。

この心優しき医師アンドレがバルバラにラタトゥイユを振る舞おうと
自宅に招くのですが、ここは唯一温かく和んだ雰囲気を持つシーンでした。

映画の舞台となった土地は、自然に恵まれたとても平和的景観なのですが、
バルバラの身辺は常に張りつめた空気なので、逆にその静けさが怖い感じなんですよね。
それにしても、西側への移住申請を出しただけで収容所に入れられるとは、
意外でした。目をつけられるとは想像していたけれど。

ところで、作業所の少女ステラの妊娠、原因は権力を持つ者の暴行という事なんでしょうか?
どちらにしても、水面下で何が行われているかわからないそういった怖さをもつ社会ですね。
例え恋人が西側の住人でなかったとしても、そういった事がまかりとおる国からは
亡命したいですねー、私なら。

最後にバルバラがとった行動がまた、かっこよすぎますわ。
どんな社会の中にあっても自分の信念を貫く、そんな彼女も
彼女を演じた女優さんも素敵です。

テアトル梅田にて鑑賞。