読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「隣る人」 〜うっすらとした希望〜

公式サイト:http://www.tonaru-hito.com/

tonaru

監督・撮影:刀川和也
企画:稲塚由美子
撮影・プロデューサー・構成:大澤一生
撮影:小野さやか
編集:辻井潔
プロデューサー:野中章弘
(2011年 日本 85分)

※ネタバレ含みます。

【解 説】
新聞やテレビで、「児童虐待」のニュースを目にすることがまれでなくなった昨今。
しかし、そのニュースはセンセーショナルに報じられるだけで、
子どもが生きる現場に寄り添い、なにが大切なのかを深く洞察した報道は少ない。
本作は、「子どもたちと暮らす」ことを実践する児童養護施設
「光の子どもの家」の生活に8年にわたって密着し、
その日常を淡々と丁寧に描いたドキュメンタリー。
(公式サイトより転機させていただきました)

美しい夜明けの情景。

ほの暗い台所で味噌汁に入れる野菜を切るマリコさんの姿は、
一般家庭のお母さんのそれと重なります。

ここ「光の子どもの家」では、普通の家庭と近い環境を作る努力がなされています。
子ども36名に対し職員が24名というその数字だけを見ても驚きます。
一人の保育士が大人数の子供を世話しているというイメージを持っていた私は、
このような児童養護施設がある事をこれまで知りませんでした。

そして、保育士さんと子供達の関係も濃密です。
マリコさんが担当するのは、小学生のムツミとマリナ。
マリナは、女の子らしく非常に甘えん坊な女の子。一方、ムツミは気が強くて口が悪い。
カメラを回す監督に「ヘンタイ!」なんて悪態をついちゃいます。
そこには、屈折した彼女の心理がちょっとうかがえるような気もするんですが。

ナレーションやテロップは一切無く、子供達の言葉は三分の一くらい聞き取れなかったけれど、
彼女達の毎日の生活の中から見えてくるものは、沢山ありました。
子供達が一所懸命に愛を求めるその姿は、ちょっと眩しくてせつなくて胸に迫ります。

子供を引き取ろうとしていた母親が、いざとなるとやはり自分の子供とは
一緒に暮らしていけないと決断したり。。。事情は様々だと思いますが、
当たり前に思えることが、実はなかなか難しいのかもしれないなぁと感じます。

映画的にはどうなんだろう。画面のつなぎ方の唐突感やちょっとした説明不足的なものは
感じたものの、将来的にDVD化されないこういった映画だからこそ、
やはり劇場で見たおいて良かったと思います。

創立者・菅原哲男さんのインタビューを読むと、その“熱い”気持ちが伝わってきて、
このような施設を運営している方たちがいることに、一筋の希望が見えた気がしました。
http://hikarihp.web.fc2.com/interview.html

第七藝術劇場(十三)にて鑑賞。