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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「木洩れ日の家で」 〜いろんな意味で犬が気になる〜

映画 か行

PORA_UMIERAC01

監督・脚本:ドロタ・ケンジェジャフスカ
撮影:アルトゥル・ラインハルト
美術:アルビナ・バランスカ、アルトゥル・ラインハルト
音楽:ブウォデク・パブリク
編集:ドロタ・ケンジェジャフスカ、アルトゥル・ラインハルト

衣装:カタジナ・モラフスカ
プロデューサー:ピョトル・ミクラシェフスキ
(2007年 ポーランド映画)
原題:PORA UMIERAC

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
91歳のアニェラ(ダヌタ・シャフラルスカ)は、ワルシャワ郊外に建つ
木造の古い屋敷で愛犬フィラと暮らしている。
一人息子のヴィトゥシュ(クシシュトフ・グロビシュ)も結婚して家庭を持ち、
年に何度か孫(パトリツィア・シェフチク)の顔を見せに来るだけだった。
そんな彼女の楽しみは、双眼鏡で隣人たちの生活をのぞき見ることで…。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

2009年秋のヨーロッパ映画祭では「美しく生きて〜アニエラと犬〜」というタイトルで
上映された作品。当時見逃したので、2年近くたって公開された事を大変嬉しく思います。
この監督の作品は「僕がいない場所」以来ですが、今作品もやはり光の撮り方が印象的でした。

冒頭、可愛らしい微笑みを浮かべる老婦人アニェラですが、実は物事に批判的で癇癪持ち。
失礼な態度の無愛想な医者など、許せるわけがありません。

けれどアニェラの回りには、他人の敷地に勝手に入る等、礼を欠いた人物が多くて、
彼女が批判的になるのも老いのせいばかりとは思えなくなってきます。

そんな侵入者達の中でも、子供達の姿は罪無くイキイキと描かれています。
ヨーロッパ映画祭のHPに「映画を撮り終えた時、次は大人を主人公にした作品にしようと
考えるのだが、やはり子供の話を撮ってしまう」という監督の言葉があるのですが、
子供が気になって仕方ない人なんやろなぁというのが、映像から伝わってきます。

窓からアニェラの家に侵入するドフトエフスキーや、ラスト近くで彼女に紅茶を運んでくる少年や、
彼女の孫等、登場するシーンは少しでも存在感のある子供達がいます。
特にアニェラの孫は強烈なキャラクター。ちょっと太めな8歳で、食い意地がはってて食べ方が下品、
妙に色気づいていて物欲が強くて、子供なのにすでにオバチャン化しています。ユニークです。

愛犬フィラのおかげで、息子の本当の姿に気づくアニェラですが、
絶望の中にあっても何かユニークな雰囲気をもったこの作品は、好感がもてます。
また、森の中の木造住宅が素晴らしく、モノクロの映像にとても映えます。

ところで、映画の本筋以外に気になった事がありました。
老婦人アニェラの相棒フィラ(フィラデルフィア)はボーダーコリーです。
この犬種は牧羊犬として有名で、多くの運動量を必要とします。
なので、アニェラのような全く活動的でない生活をしている人が飼う事は犬にとって不幸。
アニェラは正しい目をもった人なのに、犬に対しての考えはいい加減やなぁと思わずには
いられなくて。その一つは、人間の食べ物を犬に与えるところ。
それから、元々バカな犬なんて存在しないのにねぇ。
人間のせいで言う事を聞かない犬になるだけなのに。

こんな事がいちいち気になってしまう私に、我ながらチッチャ!と思うのですが。

シネ・リーブル梅田にて鑑賞。