ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ヒロシマナガサキ」と「夕凪の街 桜の国」

8月になると、太平洋戦争、そして広島と長崎について考えてしまいます。
今日はそんな心の声に従い、録画しておいた作品をみることにしました。

ヒロシマナガサキ [DVD]ヒロシマナガサキ [DVD]
(2008/03/28)
不明

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1本目は「ヒロシマナガサキ
公式サイト
製作・監督・編集:スティーヴン・オカザキ
英題:WHITE LIGHT BLACK RAIN:THE DESTRUCTION OF HIROSHIMA AND NAGASAKI
製作年:2007年
製作国:アメリカ

このドキュメンタリーを見ると、原子爆弾の被害がその時だけのものではなく、
今もずっと色々な形で継続している事を改めて確認させられます。
想像を絶する経験を語ってくださった被爆者の方々に感謝の気持ちを感じると共に、
“平和”と“核廃絶”に向けて努力する事が、私たちの義務だと強く感じました。

特に印象に残っているのが、被爆者の方の
「私たちは、生き残ったその後も人間らしい扱いを受けなかった」という言葉です。
被爆後の写真を撮り、ただ観察するだけで治療もしてくれなかったという
アメリカ軍の調査に対しても述べられたものだと思われます。

先日、この米軍占領下の原爆調査についてNHKのドキュメンタリー「封印された原爆報告書」という番組の
放送があったようです。残念ながら私はこの番組を見逃してしまったのですが、
「日本の調査団が調べた結果はすべてアメリカへと渡され、被爆者のために活かされることなく
長年封印されていた」という内容だったようです。
ぜひまた放送していただきたいですね。


夕凪の街 桜の国 [DVD]夕凪の街 桜の国 [DVD]
(2008/03/28)
田中麗奈藤村志保

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2本目は「夕凪の街 桜の国
公式サイト
監督・脚本: 佐々部清
原作:こうの史代
脚本:国井桂
撮影:坂江正明
照明:渡辺三雄
美術:若松孝市
音楽:村松崇継

【ストーリー】
昭和33年広島、皆実(麻生久美子)は同僚の打越(吉沢悠)から求愛されるが、
彼女は被爆した心の傷と、自分が生き残った罪悪感に苦しんでいた。
やがて、皆実に原爆症の症状が現れ始める。
半世紀後、皆実の弟の旭(堺正章)は家族に黙って広島へ向い、
父を心配した七波(田中麗奈)は、後を追う内に家族のルーツを見つめ直す。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

語弊があるかもしれませんが、こういうテーマを扱った作品を見た後に感じる
“なんともいえない暗い気持ち”とはちょっと違った、爽やかな作品でとても印象的でした。

皆実が心の傷を抱えたまま生きている様子は「ヒロシマナガサキ」で
妹と弟を亡くされた被爆者の方のお話を思い起こさせます。
当時の被爆地では、行政による心のケアなどは全く行われていなかったんでしょうね。

そして、21世紀を生きる七波の力強い様子から、観ているこちら側が逆に元気を
もらうことができます。こういう側面からヒロシマのその後は描いたこの作品は、
ヒロシマナガサキ」同様、“被爆”という現実が今も継続していると気づかせてくれると同時に、
なにか希望のようなものを感じることができる新鮮さもありました。

麻生久美子さんは、やっぱり“可憐”な役が似合うなぁ〜。