ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

プレシャス

監督・製作・脚本:リー・ダニエルズ
製作:サラ・シーゲル=マグネス/ゲイリー・マグネス
原作:サファイア
製作総指揮:オプラ・ウィンフリー/タイラー・ペリー/リサ・コルテス/トム・ヘラー
(2009年 アメリカ)

【ストーリー】
1987年、ニューヨーク、ハーレム。父親の性的虐待により二人目の子どもを妊娠し、
母親(モニーク)からも虐待を受ける16歳の少女プレシャス(ガボレイ・シディベ)。
妊娠が原因で中学を退学になった彼女は、フリースクールに通いはじめる。

公式サイト(音が出ます!)

「すべては宇宙からの贈り物」

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キャスティングと音楽の勝利。

ハーレムで生活保護を受ける母子の、荒れた生活ぶりがすさまじくて。
母親に酷使され精神的虐待を受けるプレシャスだけど、淡々と演じるガボレイ・シディベのおかげで
目を覆いたくなるというほどは、見ているこちら側を陰惨な気持ちにはさせません。
彼女は毅然としていてコミカルで、時には可愛い。

Lenny Kravitzの“Do It”はこの映画で使われてたんやぁ!と初めて知りました。
前編に流れるブラック・ミュージックも気持ちを前向きにしてくれます。

そんなレニーは、ナニー役でもさりげなく光ってましたYO〜。←これは贔屓目に見てるのかなぁ。
いやっ、でもナニーの格好しててもやっぱり彼はカッコいいんよねぇ。
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マライヤもフツーのおばさんに見えて、役にはまってたし。
この人、個人的にはあんまりいい印象ないんやけど、この映画では良し!という事で納得してます。

教師役のポーラ・パットンも素敵。彼女、とても知的でエレガントな雰囲気の女優さんですね。
素晴らしい導き手にめぐり逢う奇跡! こういうエピソードにはやはりぐっときます。
彼女の優しい眼差しが印象的。

母親を演じたモニークからは、全身から負のオーラのようなものが出てました。
よくいう“迫真の演技”とはこういう事なのかも。

残念なことに、意図してないようなブレのある映像(手持ちカメラでの撮影なのか)に
ちょっと見づらさを感じました。

あと気になったのが、オプラ・ウィンフリーが製作総指揮をしてるせいか「オプラが〜」と2度程
プレシャスが言う場面がある事。
また監督のリー・ダニエルズは同性愛者ですが、同性愛者に関するプレシャスのセリフ(心の中のつぶやき)が
あんまり本筋とは関係ないところで出てきて、ちょっと違和感がありました。
私自身同性愛に関しての偏見は無いつもりですが、このセリフは必要ないような気がします。

とはいえ、この重いテーマを扱いながら観ている側に希望を持たせるこんな映画、好きですね。
プレシャスの心の声「なんだかホンワカとした気分になる」には、こちら側がホンワカとさせられました。

原作本↓

プレシャス (河出文庫)プレシャス (河出文庫)
(2010/04/10)
サファイア

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サントラ↓ メアリー・J.ブライジの“デスティニー”やレニーの“Do It”は何故か入ってないみたいですね。

プレシャスプレシャス
(2010/04/07)
サントラグレイス・ハイタワー

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敷島シネポップにて鑑賞。