ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

Beauty うつくしいもの

監督:後藤俊夫
(2007年 日本)

【物語】
昭和10年、長野県伊那路村、村歌舞伎を初めて見た少年・半次は、
村に伝わる舞踏「天竜恋飛沫」を舞う雪夫に心を奪われる。
雪男に誘われ歌舞伎を始めた半次は、ふたりで「新口村(にのくちむら)」
(「恋飛脚大和往来」より)を演じ、初舞台で大成功を収める。
(チラシより転記させていただきました)

故郷の風景、日々の営み、人々の絆、うつくしいものはそこかしこに存在している。

村歌舞伎の役者さんも普段は普通の生活・仕事をしてはるんですね。
伊那路村の山なみ、自然の息吹、そこに共生している人々の生活が感じられる
映画のうつくしい導入部分でした。
その時代の実際の生活は一見のどかに見える反面、貧しく時には過酷だったんだろうなぁと
想像しながらも、ノスタルジアを感じさせる映像です。

これまで歌舞伎は南座で一度観たきりの無知な私でも、見ている間にだんだんと
村歌舞伎のお話はわかってきます(村各々のオリジナルのお話があるのは素敵ですね)。
歌舞伎のお話と登場人物達の話にリンクする部分がありその絡め方も良かったので、
村歌舞伎のシーンも大変興味深く見る事ができます。

残念だったのは、やはり舞台の役者さんだからか、どうしてもオーバーアクトに
思えてしまって、本編のストーリーに入り込めなかったところです。
麻生久美子さんはフツウでよかった。(=^_^=)
それと、ソ連兵とのからみや他の部分でもちょっとベタ過ぎる演出というか、
なんとなく稚拙に感じてしまう部分があったというのも正直なところ。

そんな気持ちも、半次の引退公演での片岡孝太郎さんの踊りで払拭してしまいましたが。
心打つ舞いがそこにはありました。これをみる事ができただけでもよかったかなぁ。

あと、後半の片岡愛之助 さんがペ・ヨンジュンさんに見えたのは
私だけじゃないと思いますー。( ̄▽ ̄;A

つつましやかな生活の中でのハレの舞台。それをつくり、守っていくことによっても
村人達の絆が固く結ばれる様子が伝わってくる。

第七藝術劇場にて鑑賞。