ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「今日と明日の間で」 〜美しい生き方、首藤康之〜

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公式サイト:http://kyo-asu.com/

監督:小林潤
プロデューサー:石川朋子
エグゼクティブプロデューサー:甲斐真樹
撮影:大高明毅
テーマ音楽:椎名林檎
照明:花村浩
録音:森英司、富野舞
編集:大重裕二
(2011年 日本 88分)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
世界を舞台にトップバレエダンサーとして活躍する首藤康之
9歳からバレエ人生をスタートし、15歳で東京バレエ団に入団して以来
バレエに人生のすべてを懸けてきた彼が、自らの胸の内を明かす。
「時の庭」「空白に落ちた男」など2010年の全ステージと練習をはじめ、
親交の深いダンサーや振付家の証言を交え、首藤の知られざる素顔に迫る。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

(最初に言ってしまうと)ダンス・舞踊に興味のある人、
とりわけ首藤さんが好きな人には見ごたえのある映画です。
が、そうでない方にとってはどうなんでしょうね。
ちょっと物足りなくまた退屈に思える部分があるかもしれません。
個人的には、食い入るように見入った88分で大満足でしたが。

“Between Today and Tomorrow”という作品で始まり、終わるこの映画、
最初、このソロ作品に惹き込まれた人にとってはおそらく面白い映画になる、と言えるかもしれません。

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作品に向かうその姿勢は、想像以上に真っ直ぐで神々しいほど。
小野寺修二さん(「空白に落ちた男」演出)が首藤さんに関して言った
「全くブレない人、一回獲得したモノを決して離さない人」という言葉が裏付けるように、
ダンサーとしては決して器用なタイプではなく、作品を自分のモノにするために
自分の中で何かを積み重ねてくタイプである事が伝わってきます。

映像を通してビシバシ感じられるのは、首藤さんにとって“踊る”という事が人生そのものなのだなぁという事。
彼に対してこれまで漠然と持っていた印象、“全く俗っぽさを感じさせない”“人間というより妖精のよう”
“生活感が無い”etc.といったものは、こういうストイックさから発せられるものだったのかもと納得。

「時の庭」「アポクリフ」は、今回初めてその一部を映像で見たのですが、
「アポクリフ」は、劇場で観てみたいと感じました。
コンテンポラリー・ダンスを見てこれほど面白いと感じたのは初めてです。
とにかくエキサイティングな舞台でした。
また、振付家でもあるシディ・ラルビ・シェルカウイが言うところの
「異なるものを排除する」というテーマが見るものにすんなり伝わってきます。

その存在が何だか人間離れしてるというように感じていた首藤さんですが、
ジャケット(故郷・大分でのロケで着用)のサイズが全く合ってなかったりして、
ダンス以外の事には結構無頓着なのかなぁ〜などと、可愛らしく感じました。

それにしても、首藤さんのひたむきさは眩しい!です。
そして、彼の話し方はやっぱりソフトで素敵です〜

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。