ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

フランドル

監督 ブリュノ・デュモン(2005年/フランス)
テアトル梅田にて鑑賞。

【物語のはじまり】
フランス北部、フランドル地方の小さな村。
そこに暮らす少女バルブ(アドレイド・ルルー)は
幼馴染みのデメステル(サミュエル・ポワダン)と体を重ねる一方、
カフェで知り合ったブロンデル(アンリ・クレテル)とも関係を持つ。
デメステル達、村に住む若い男達は村を出たい一心で戦地へ向かうが。。。

監督は第2作『ユマニテ』でもカンヌ映画祭審査員グランプリを受賞した
ブリュノ・デュモンです。俳優陣はアマチュア(す・すごいんですけど)
という事です。とは言っても、彼の作品を観たのは初めてです。

この映画をもし観るなら、劇場をお勧めします。
普通の映画以上に集中力を必要とするからです。
もちろん、家にシアタールームとかいうのをお持ちで、
電話にも家族にも雑音にも邪魔されない場合は別かもしれません。

この作品の中では「静寂」というものが、大きな役割を占めています。
その静けさが、何か詩的な雰囲気を感じさせてくれます、不思議に。
「静寂」を保てない環境でこの作品を観たら、たぶん大きく印象が
変わってしまい、受け止めるものが無くなってしまうのではないかと思いました。

それにしても、バルブはファッションも含めてすごく可愛いのに、
男達のいけてないこと。。。男性監督ゆえか。
まぁ、そもそもバルブのような存在は、女性監督ではありえないかも。

ただしこの映画は、正常なモラルの持ち主でかつ、ストレスに極端に弱い方は
観ない方がいいかもしれませんね。見るに耐えないシーンも結構あります。
人間社会の不条理さや、人間の憎むべき面を露骨に見せつけられ、
精神的につらくなってしまう作品でもありますが、えーっと、
この先はネタバレになるので。。。

※ここらかネタバレ含みます。

それにしても、男達が戦場へ行ってからのバルブの苦しみっぷりに
「お前は霊能者か!」って突っ込み入れたくなりましたよぉ。
彼等の行動と妙にリンクしてるんやねぇ。
最後は「私、見てたんだから」とか言っちゃってるし。

しかーし、バルブのおかげで観終わった後の気持ちは暗くない。
去年観た「麦の穂をゆらす風」の方がよっぽど救いようがなく暗かったです、

※ここまで。

村の自然が美しいのに反して、住民の家屋の周りが雑然と散らかっていて
汚いのが妙に印象的で、リアルでもありました。