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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ-2「ラヴ・ストリームス」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」

映画 か行

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公式サイト:http://www.zaziefilms.com/cassavetes/音が出ます!

カサヴェテス特集、後半の感想。

一昨日、相方が見ていた「刑事コロンボ」(AXNミステリー)を横からフト見ると
ジョン・カサヴェテスが犯人役で出演してました。
このタイミングで自宅でもカサヴェテスの顔を見るなんて、なんだかお腹いっぱいです。

こうやって俳優として稼いでは、映画制作にお金をつぎこんでいたのでしょうね。
ピーター・フォークもコロンボで稼いだ金をカサヴェテスに注ぎ込んだという
記述もどこかで見たような気がする)
私自身は「刑事コロンボ」をあまり面白いと思った事がないので詳しくないのですが、
「黒のエチュード」(Etude in Black)というエピソードのようです。


※ネタバレ含みます。


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<ラヴ・ストリームス>
脚本:ジョン・カサヴェテス、テッド・アレン
原作:テッド・アレン
(1984年 アメリカ 141分)※35mm上映
原題:LOVE STREAMS

【内 容】
他人を愛することに不器用ながらも、愛や孤独をテーマにした小説を書く弟と、
その深い愛ゆえに狂気に陥っていく姉の内面の荒廃を描く。
「愛、孤独、家族」を主題にしたカサヴェテス映画の集大成ともいうべき傑作。
(公式サイトより転記させていただきました)

この監督が描く愛はとても残酷だなぁ。見ていて辛い。

この作品でも、孤独に怯える中年女は精神のバランスを崩している。
「こわれゆく女」の主人公メイベルよりも、むしろこの映画に登場する
サラ(ジーナ・ローランズ)の方が救いようがない。。。。。と思う。
実態のない愛にすがりついているから。

常人の想像をはるかに超えた大荷物をかかえ、ヨーロッパの空港を右往左往する
彼女とポーターのやりとり。
夫ジャック(シーモア・カッセル)と娘デビー(リサ・マーサ・ビューウィット)を
笑わそうと必死になる彼女。
ロバートに愛する事を教えようと、タクシーに沢山の動物を乗せ連れ帰るサラ。
そのどれも、痛々しさと共にちょっと笑ってしまうような可笑しさがある。

弟ロバート(ジョン・カサヴェテス)は他人との間に存在する“愛”を信じていない。
そのロバートが唯一愛する姉は、夫と娘への一方的な“愛”に囚われ身動きがとれない。
この兄弟はクレージィ、その行動は予測不能だ。

美しい女が抱える秘密を聞き出したがるロバートの心理、
人との絶対的なつながりを否定しているからこその行動なのかもしれない。
突然先妻が連れてきた子供アルビーに対しても、悪意はないものの
その距離の置き方は、対等な大人に対するものと何ら変わりないように感じる。
そんなロバートも、なぜかサラの連れ帰った動物たちの面倒をみようとするのは不思議。

人をあるタイプにあてはめ安心しようとする防衛本能なんか、
ここでは何の約にも立たない。だからカサヴェテスは面白いのかもしれない。
けれども、見終わった頃にはぐったり。


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ベン・ギャザラ、ミード・ロバーツ 他

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<チャイニーズ・ブッキーを殺した男>
脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:フレッド・エルムス
(1976年 アメリカ 134分)※デジタル上映
原題:THE KILLING OF A CHINESE BOOKIE

【内 容】
暗黒街のマフィア、ストリッパー、ナイトクラブ、犯罪。
フィルム・ノワール的なテーマを持つカサヴェテス作品の中でも特異な1本。
2012年2月に逝去したベン・ギャザラが、巨額の借金を背負いこみ事件に巻き込まれていく
場末のクラブのオーナー、コズモを見事に演じ、圧倒的な存在感を示す。
(公式サイトより転記させていただきました)

この映画にはジーナ・ローランズも登場しないし、アメリカの中産階級家庭も登場しない。
出てくるのはマフィアと夜のクラブとストリッパー達という、あやしい世界。
裏社会を描いてはいるが、ハードボイルドアクションなんてものとは全く違う。

カサヴェテスの映画は娯楽作品ではなく、とはいえ芸術的作品というわけでもなく、
人間のありのままを映し出した(こうあって欲しいと皆が望む人物像でもなく)
カサヴァテス独自の世界という印象。ここでもその印象は覆らなかった。
というよりも、この作品の主人公コズモ(ベン・ギャザラ)は、
カサヴェテス自身の姿が一番投影されているんじゃないだろうか。

今から人を殺しに行くという切羽詰った状態であっても、
ショウの進行が気になり、店に電話をかけるコズモ。
お腹に銃弾が入っていても、ミスター・ソフィスティケーション(ミード・ロバーツ)の
愚痴を聞き、皆のやる気を引き出そうとする。

ラスト近くになるにつれ、全てを卓越したような表情に変化していくコズモが好きになる。
ベン・ギャザラは「オープニング・ナイト」でも忍耐強い役を演じていたが、
ここでも強い意志を感じさせるような魅力を発揮している。
まぁ、普通に考えたらヤミ賭博する方があかんねんけど、
やっと借金返し、はめ外したいという気持ちもわからんではないし。トホホ。

それにしても、あのクラブのストリップショウの何とつまらないことか!
「さすらいの女神(ディーバ)たち」で初めてバーレスクの面白さを知った私だから、理解できなかったのか?
あまりにも有名なあのパリのキャバレーと同じ名前というのが、逆に物悲しい。

第七藝術劇場にて鑑賞。