読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「別離」 〜神様は見ている〜

SIMIN

公式サイト:http://www.betsuri.com/音が出ます!

監督・脚本・プロデューサー:アスガー・ファルハディ
撮影監督:マームード・カラリ
編集:ハイェデェ・サフィヤリ
美術・衣装:ケイヴァン・モガダム
メイキャップ:メーダッド・ミルキアニ
音響デザイン:モハマド・レザ・デルパック
音響編集:レザ・ナリミザデー
ミキサー:マームード・サマクバシ
プロダクションマネージャー:ハッサン・モスタファヴィ
エグゼクティブプロデューサー:ネガー・エスカンダーファー
(2011年 イラン 123分)
英題:JODAEIYE NADER AZ SIMIN

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
テヘランで暮らす妻シミン(レイラ・ハタミ)は、11歳になる娘テルメーの将来のことを考えて、
夫ナデル(ペイマン・モアディ)とともにイランを出る準備をしていた。
しかしナデルは、アルツハイマー病を抱えることとなった父を置き去りにはできないと
国を出ることに反対。夫婦の意見は平行線をたどり、シミンが裁判所に離婚申請をするが、
協議は物別れに終わる。 (公式サイトより転記させていただきました)

オープニングから、登場人物達のまくし立てるような話し方に圧倒されます。
立て板に水といったかんじで、しゃべるしゃべる。自己主張しますねー。
ここでは対立する人間関係が描かれているので、必然的にそういったシーンが多くなります。

一つは夫婦間の意見の相違による対立。
この夫婦はお互いにまだ愛情を持ち続けているようなのですが、
お互いに譲れない気持ちが強すぎてどうにもならない状況に陥っています。

二つ目はこの夫婦と、介護に来ていた女性の家族の対立。
父親をベッドにしばりつけて外出した女性・ラジエーに腹を立てたナデルが、彼女をドアの外に
押したのが原因なのか、ラジエーの入院が発端となっています。

果たして、ナデルのせいでラジエーは流産したのか?
また、ナデルはラジエーが妊娠中なのを知っていたのか?
ナデルの家からお金を盗んだのは誰なのか?

3つ目の疑問は最後まで解決しませんでしたが、真実はいったいどこにあるのかと
気になって夢中で見ていました。123分を感じさせない面白さですが、重い話ですね。
そこには、ラジエー一家の貧困があり、老人介護の問題もあります。

登場人物はそれぞれにキャラクターが強烈。

夫・ナデルは常識的で善良な人なんですが、逆にそれが災いしたというか。
「夫に内緒で来ている」とラジエーが言っていたにもかかわらず、
彼女が入院している病院に行ってしまうのはまずいでしょう。
あのまま顔をださなければ、訴えられることもなかったはず。

また、ギャーライ先生に電話したのも軽率でしたね。
あれでは、自ら二人の会話を聞いていたと証拠を残したようなものですし。
でも彼にとって一番の失態は、娘・テルメーにも自らを恥じるような行動を
結果的にとらせてしまった事だと思います。あのテルメーの涙は重いです。

妻・シミンは知的で行動力もあるけれど、ちょっとひとりよがりな所も感じられます。
海外移住に協力しない夫に腹を立ててるのはわかるけど、それで実家に帰るという行動はよくわからないし。
義父をずっと介護していて、そこから解放されたいという気持ちもあったのかもしれません。

そして、何もかも話をややこしくする原因はこの人にあるのでは?と思うラジエー。
色んな意味で無理のある仕事を引き受けたのは、夫の借金を返すため。
そんなラジエーを紹介したシミンの義姉にも、ちょっとは責任があるかも。
敬虔なムスリムの彼女は、最後の最後でまた話をひっくり返してしまいましたしね。

ラジエーの夫・ホッジャト、一番興奮してはりましたね。なにかにつけてカッカしてたし。
とにかく疲れます、こういう人。

イラン社会の現状を少しだけ見ることができたような気にもなります。
同監督の『彼女が消えた浜辺』は、一昨年見逃した作品。こちらも気になるところ。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。