ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」 〜衣装が気になる〜

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公式サイト:http://disney-studio.jp/movies/help/音が出ます!

監督・脚本:テイト・テイラー
原作:キャスリン・ストケット
製作:クリス・コロンバス、マイケル・バーナサン
音楽:トーマス・ニューマン
衣装:シャレン・デイヴィス
(2011年 アメリカ 146分)
原題:THE HELP

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
作家志望のスキーター(エマ・ストーン)は南部の上流階級に生まれ、
黒人メイドの存在が当たり前の地域社会で育ってきた。
だが、大学から戻った彼女は、白人社会でメイドたちが置かれた立場が、
もはや当たり前には思えなくなってくる。
そして、身近なメイドたちにインタビューをしようと試みるが、
彼女たちにとって真実を語ることは、この南部という地域社会で生きる
場所を失うことを意味していた…。
(公式サイトより転記させていただきました)

「ゾンビランド」「ラブ・アゲイン」等、イケてる映画で存在感を感じさせた、
若手注目株のエマ・ストーンが主演です。

語弊があるかもしれませんが「予想どおりの映画」という印象です。いい意味で。
そして、「リリィ、はちみつ色の秘密」(2008年)を思い出します。

まだまだ黒人差別の強い1960年代のアメリカ南部が舞台で、
人種的偏見をもたない白人女性が話の軸となっている事や、
緑豊かな映像の美しさなど、2つの映画は共通する部分があります。

「リリィ…」とは違い、今作品は登場人物も大人が中心ですので
もう少し現実的というか「「リリィ…」から甘酸っぱさを取り除いたと感じというか。
それでも、1960年代アメリカ南部の高級住宅街は美しくて目に優しいし、
女性達が着るXラインのワンピースはノスタルジックでキュートです。

衣装のシャレン・デイヴィスは、アカデミー賞の常連のようですが、
この映画では登場人物の個性が、衣装によって上手く表現されてるなぁと思います。
自己主張の強いヒリーが着るインパクトの強い花柄のワンピースや、
逆に周りの意見に流される女友達が着る、垢抜けしないドレスなど。

特に衣装がスキーターが頻繁に着ているブルー系の衣装は、彼女のブロンドに映えて綺麗でした。
細かいプリント模様のワンピースに、前たて部分がデコラティブなカーディガンという組み合わせは
時代を感じさせる可愛らしさ。かつて、この時代のアメリカ古着にはまった事があったのを思い出します。
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先進国の中で奴隷制度を最後まで続けた国という事自体、アメリカの恥ずべき歴史だと思うのですが
その後も人種分離法みたいなものが存在していたのは、今考えるとバカバカしいと言うか何と言うか…。
そんなんオカシイやん!と思っていた人は白人の中にも少なからず存在したと思うんですけどね。
保守的な社会では、回りから浮くような意見を言うと村八分にされるというのも
大きな理由かもしれないなぁなどと想像したりします。
いや、村八分どころか下手したら殺されかねない野蛮な社会ですから。あぁ怖ろしい。

あの婦人会みたいな集まり。。。。私の超苦手とするものです。
昔から、仲良しグループみたいな女子の集まりには違和感ありましたから。
自分の目指す事のためには女子の輪から浮いても仕方ないと、ある意味覚悟を決めてる
スキーターには共感できます。でも、彼女は決してとがってないのが良いですね。

あの婦人ボランティアの会みたいなのが「アフリカの子供達を救えてよかった」と言いつつ、
普段の生活ではアフリカンアメリカンを思いっきり差別してるのが、皮肉でしたね。

映画の中では、KKKに殺害される黒人の話が引用されていたりしますが、
作品そのものには重苦しい雰囲気はなく、笑いを誘う場面もたくさんあります。

オクタヴィア・スペンサーの思わず笑ってしまう独特の表情や、
シシー・スペイセクの愉快なおばあちゃん、
メアリー・スティーンバージェンのいかにも都会的キャリアウーマン等、
脇を固める女優陣の魅力も楽しめます。

今もひそかに続く奴隷制度について、考えるきっかけになるかも。

グローバル経済と現代奴隷制グローバル経済と現代奴隷制
(2002/10)
ケビン ベイルズ

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↑この本を読むと、奴隷制は過去の話ではないという事がわかります。
著者によると2700万人の奴隷が世界に存在していて、
旧奴隷制度よりもむしろタチが悪いのが、この新奴隷制度。
まずは、そのカラクリについて知ることができて良かったと思います。

TOHOシネマズ梅田にて鑑賞。