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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「やがて来たる者へ」 〜非職業俳優達にみるリアリズム〜

VERRA

公式サイト:http://www.alcine-terran.com/yagate/

監督・原案・脚本・編集・製作:ジョルジョ・ディリッティ
脚本:ジョヴァンニ・ガラヴォッティ、タニア・ペドローニ
撮影監督:ロベルト・チマッティ
編集:パオロ・マルゾーニ
美術:ジャンカルロ・バジーリ
衣装:リア・フランチェスカ・モランディーニ
録音:カルロ・ミッシデンティ
音楽:マルコ・ビスカリーニ、ダニエレ・フルラーティ
製作:シモーネ・バキーニ
(2009年 イタリア 117分)
原題:L'uomo che verrà

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
第二次世界大戦末期、イタリア北部ボローニャ近郊のある山村。
両親や祖父母や親せきたちと暮らす8歳のマルティーナ(グレタ・ズッケリ・モンタナーリ)は
生まれたばかりの弟を亡くして以来、誰とも話さなかった。
1944年9月29日、ドイツ軍がパルチザンを掃討するため、とうとう村に侵入してくる…。

2010年のイタリア映画際で上映された作品。
去年もやけど、今年もこの映画祭行ってないなー。
2日間だけの上映なんで、ついうっかり忘れてしまいます。
で、こんな素晴らしい映画も見逃してたんですね。今回、上映されて良かったです。

1944年にイタリア・ボローニャ近郊の小さな村で実際に起きた、
ナチス・ドイツ軍による住民虐殺事「マルザボットの虐殺」を、
少女の目線で描いた作品。

全体にセピアがかった色調の映像は、時折息を呑むほど美しい。
特に印象的だったのは、聖体拝領を受ける為のドレスを着たマルティーナが
草原をかけぬけるショット(まるで草原に咲く小さな花のよう)や、
夜明けに飛び交うホタルや、靄の中にぼんやり浮かぶ教会の姿など。

マルティーナを演じる少女の表情が、とびきり魅力的で惹きつけられる。
叔母達に挟まれ靴下で顔をなでられる様子は、幸せそうで忘れられない。
ドイツ兵に毅然とした態度を示した叔母役のアルバ・ロルヴァケルは、
「ボローニャの夕暮れ」でも、その演技が光っていた。

この少女の「(ドイツ兵は)なぜ自分の家で、自分の家族達と過ごさないのでしょうか?」という疑問や、
「皆、人を殺したいのだと知りました。理由はわかりません」という率直な気持ちは、
見ている私の気持ちにも重なる。
人は何故、生まれた場所でつつましく生きていけないのか。
何故、生きていくのに必要なモノ以上を欲しがるのか。

監督は、エルマンノ・オルミ監督と一緒に仕事をしてきた人というだけあって、
農民達の暮らしぶりが垣間見えるような描写が良い。
夜には一族皆で手仕事(籠づくり)に勤しむ様子など、日々の営みがそれとなく感じられる。
ちなみに、ポレンタというイタリア料理を今回初めて知った。

こういう貧しくも懸命に生きている人達が犠牲になる戦争の惨さを、
決して情緒的になりすぎず、淡々と描いているのが良い。

マルティーヌの父が隠れていた森の中、木に映った影が人の顔に見えるショットは怖かった。

公式サイトには「2007年に軍事法廷において、事件に関わった元ナチス・ドイツ従軍者10名に
終身刑が言い渡された」とあるが、2007年て!遅すぎませんか?
また、別のサイトでは「被告たちは裁判に一度も出廷したことはなく、祖国で年金生活を送っている」
との記述もあり、やりきれない思いがした。

たとえ人間の残虐な行為が行われた後でも、村の風景は美しい。
マルティーナが言葉を取り戻すのが、小さな希望。
音楽もすばらしく、エンドロールの間は映画の余韻にひたっていた。

テアトル梅田にて鑑賞。

テアトルシネマグループでは、12/1(木)から“TCGメンバーズカード”というものができるようです。
年会費1,000円というのが、今までのCLUB C会員よりも気軽に入れる感じで良いかも。
関連ページ:http://www.ttcg.jp/member/