ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「ドクトル・ジバゴ」 〜時代を感じる〜

ドクトル・ジバゴ アニバーサリーエディション [DVD]ドクトル・ジバゴ アニバーサリーエディション [DVD]
(2010/06/02)
オマー・シャリフ、ジュリー・クリスティ 他

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監督:デヴィッド・リーン
製作:カルロ・ポンティ
脚色:ロバート・ボルト
撮影:フレッド・A・ヤング
編集:ノーマン・サベージ
音楽:モーリス・ジャール
原作:ボリス・パステルナーク
(1965年 アメリカ・イタリア)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
19世紀後半から20世紀初頭、ロマノフ朝ロシア帝国崩壊〜ロシア革命を軸に、
ユーリ・ジバゴ(ドクトル・ジバゴ)の人生における愛と別れを描く。

ずっしりくる映画が観たい気分だったので、久しぶりに“午前十時の映画祭”に足を運びました。
デヴィッド・リーンのこの作品は今まで縁が無く、今回初めての鑑賞。

休憩10分をはさんで、3時間半。最初の5分間、真っ暗な画面に序曲が流れます。
こんな映画を作ることができるなんて、良い時代ですね。

壮大さでは同監督作品の「アラビアのロレンス」が、甘(ったる)さでは「逢びき」が、
衝撃度では「ライアンの娘」が、面白さでは「戦場にかける橋」の方が
それぞれ上をいっているような印象です。

ですが、ロシアの広大な平原や大雪原(実際の撮影場所はもちろんロシア国外ですが)を
背景に描かれた世界は、それだけで見るべき価値があると思えます。
ラスト近く、ベリキノの屋敷はまるで氷の宮殿のようで目をみはりました。
樹氷や雪の結晶、狼の遠吠え等、幻想的な世界が広がります。

ストーリーそのものは、正直あまり好みではありません。
ジバゴ(オマー・シャリフ)は、ある意味では誠実な人間かもしれませんが、
夫としてはやっぱり不誠実ですよね。
彼が政治に関してどういう考えを持つ人物だったのかも、結局わからずじまいでした。
優しいんだけど時代に流されているようでもあり。

そんなジバゴと対照的やったんが、モスクワからベリキノへの列車で乗り合わせた
強制労働に送られる男です。
少しの登場シーンでも、やはりクラウス・キンスキー強烈な印象を残しました。

また、どこか軟弱なイメージだったジバゴと違い、女性陣は強く美しい存在として輝いています。
ラーラ役ジュリー・クリスティの美しさ、トーニャ役ジュラルディン・チャップリンの気品、
良いですね〜。

印象的な“ラーラのテーマ”も、後半はちょっとクドく感じてしまった私。音のボリュームでかいし。
この雰囲気、時代性はいい面もありつつ、今の気分にちょっとそぐわない部分もやはりあるようです。

“TOHOシネマズなんば”にて鑑賞。